報だと思ってあきらめるさ。……しかし、妙な面《つら》になったねえ、歪んでるぜ」
 乾は大げさに額をおさえながら、
「……どうも頭の芯が痛んでならない。顔なんぞどうでもいいが、一時はだいぶ物騒でしたよ。匕首《あいくち》なんかひけらかしゃがってねえ。(と、いって、あとは独語のように)ふ、ふ、ああいう風に向っ腹をたてるところを見ると、やはりあいつが殺ったのじゃなかったかも知れん」
 西貝は、どたりと机の上へ両足をのせながら、
「……あの勢いなら絲満ぐらい殺《や》りかねないじゃないか。……しかし、案外あれで堅気なのかな。……いや、そんなことはあるまい。この二三年、絲満などと悪く仲間になってたそうだから、なんだかわかったもんじゃないさ。……それに五人のなかじゃ、なんといっても、あいつだけが絲満の地理に明るかったのだからな。……すると、今日は貴公の口をひっ撲《たた》きにきたのかな」
 乾はうるさく肯きながら、
「そうそう、あたしもそう思ってるんです。……だがねえ、脅かしてあたしの口を塞ごうたって、そううまくゆきやしない。……してみると、どうせあいつも、何か弱い尻をもっているのにちがいないのさ。……
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