らしく、互いに、飲め、飲め、といってコップをさしつけていた。大部分は床へこぼしてしまうのだった。
入口を蹴りつける音がし、はげしく扉をおしあけると、ふらりと鶴がはいってきた。靴のままでずかずかと板土間へあがりこむと、陶榻《とうとう》の上へ腰をかけた。これも酔っているらしく、蒼ざめて眼をすえていた。
ハナが、ぐらりと首をのめらせて、下からまじまじと鶴の顔を見あげると、
「おや、なまちょこねえ、この餓鬼飲んでるよ。……オイ、どこで飲んできたんだ」
乾はいい機嫌で、しきりに額を叩きながら、
「掃き溜に鶴、か。……いや、待ってた、待ってた。……ま一杯のめ」
コップを高くさしあげて鶴の胸へおしつけた。鶴が烈しくはらいのけた。コップは乾の手を離れて遠いところまで飛んでゆき、鋭い音をたてて割れた。乾は額から酒の滴をたらしながら、ニヤニヤ笑った。
「おや、こいつの酒もよくねえ」
「うるせえ!」
鶴が甲《かん》ばしった声でさけんだ。血走った眼で乾を睨みつけながら、妙に重石《おもし》のついた声で、
「おい、やってくれたねえ……うれしがらせておいてハメこむなんて悪趣味だぜ。……こんなケチなガスモク
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