うと、あたしは残念で無念でそれ以来今日が日まで、いても立ってもいられない位だったんでございます。……警察なんざ頼みにならない。自分の手でそいつをとっちめてやるつもりで、いろいろ金も使い、ない智恵もしぼって、走り廻ったこともございます。……そういうわけだから、念晴しに、ひとつたしかなところをお明しねがいます。そのかわり……」
男はすこしもてあましたようすで、
「いいいい、わかったよ。……なにもかもみな判明《ワレ》たんだ。服《トビ》を借りに行った女というのが南平ホテルの女ボーイだったんで、こいつを訊問《タタイ》て見ると、野郎のために借りたというんだな。……野郎|女《ビク》に化けて行きやがったんだ。なかなか|味な《シブイ》ことをするじゃないか。あの面《ミカケ》で強盗《タタキ》をしようたあ、ちょっとだれも気がつかねえからな。……どうもナメた野郎だよ。それで、いままでヌケヌケと東京に|暮《アンゴ》しているてえんだから……」
乾はいかにも口惜しそうな顔をして、
「ちくしょう。……やっぱり、あいつだったのか。あたしも臭いと思っていたが、まさかまさかと思って、うち消すようにしていたんです。……ひと
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