、これからすぐ乗込んでいって埓をあけてやろう……。あわてふためいて、枝川町までタキシを飛ばした。……むこうへ着いたときは、ちょうど一時十分だった。二階の雨戸があいて、ぼんやり電気の光がもれていた。……小生は勢いこんで戸口までいったが……、(悚えるような眼つきをして)戸口まで行ったが、どうしても把手に手をかける気がしない……、どういうわけか、凄くて、怖くて、どうしてもはいる気がしない。……そのうちに、意地にも我慢にもやりきれなくなって、平久町まで駆け戻って、あそこから洲崎《ベニス》の灯を見ると、ようやく人心地がついた。……今にして思えば、多分あのころは、内部じゃ殺しの真最中だったんだろう。……ありていに申しあげると、こういうわけなんだ。嘘も……偽りもない。……どうか妄執を晴らして……小生だけは、助けてくれ……」
 本気か冗談か、手を合せた。乾はニヤリと笑って、
「知ってるよ。……ひとが悪いようだが、大体は知ってたんです。……でもねえ、あんたの口からきいて見ないことにゃ……」
 と、いいながら、堀のほうへ眼を移した。途端、なにを見たのか、うむ、と息をひいた。
 ひきあげた四手網の目から、ポ
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