れないと浮かばれないんだ。……(ジロリと西貝を見ると)あんたにも多少の怨がかかってるんですぜ」
と、いった。西貝はピクピクと頬をひきつらせて、うつむいてしまった。しばらくの後、顔をあげると、
「乾老、おれは自白する」
といって、頭をさげた。乾は、瞬間、西貝を瞶《みつ》めたのち、
「なんです、急に……。どうしたんです、西貝さん……」
口調にもかかわらず、べつに驚いたようすもなかった。
「僕は絲満が殺された夜の一時ごろ、たしかに〈那覇〉まで出かけた……しかし、天地神明に誓って、殺したのはおれじゃない。これだけは信じてくれ」
乾は返事をしなかった。西貝は急きこんで、
「……あの晩、演舞場を出たのが十一時ちかく。二三軒はしごをかけて、新橋〈たこ田〉でまたのみなおしているうちに、その朝受取った、れいの〈遺産相続通知〉の手紙を思いだした。……酔っていたせいもあったろうが、いったん考えだすと、とめ途もないんだな。……馬鹿馬鹿しいが、そのときは、何万……という遺産が、小生のふところへころがりこむように思われてきたんだ……。昂奮したね。こんな気持で、とても明日までなんぞ待っていられない。……よし
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