了解がなかったことと、同時に使いをたのまれたのに過ぎないということが、二重に証明されます。……(茶碗の底に残っていた茶をズウと音をたてて啜りこんでから)さて、これだけの材料を順序よく配列して見ると、だいたいこんなことになる。……二十二三の、上品な、すらりとした美人が、ある女に頼んで服を借りて貰い、それを着て十時十分頃〈那覇〉へやってきた、このときボーイがそのうしろ姿だけ見ている。……そして、ボーイは帰る。それから一時ごろまで絲満とフリの客三人で大いに飲み、あるいは大いに飲ませ、絲満が泥酔したのを見すまして、帰るふりをして横手へまわり、柳の木をつたって二階の窓から寝室にはいり、衣裳戸棚の中にかくれて待っていた。絲満が泥酔して階下からあがってくる。寝台に倒れてぐっすり寝こんだところを、のしかかって心臓を三突、頸動脈をひと刺し。それから水差の水を金盥にとって手を洗い金をさがして発見する。綿密に部屋の中を拭いてまわる。釦をひろって受取書につつむ。もうなにも手落ちはない。そこで、扉をしめて鍵をかけ、階下の入口から悠々と出て行った。この時はもう三時近い。蛤橋を渡って浜園町へ行こうとすると、むこうか
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