直にぶちまけるが、今のお前さんの話を聴くまでは、鮨売にばかり眼をつけて、ほかのことはかんがえて見るひまがなかった。この件のおさまりがついたら、それはお前さんのお手柄。……ようやくこれでハッキリしたが、すると、こんどの件はこういう筋なのにちがいない。……お前さんによく似たどこかの悪《わる》が、お前さんがこんど小鰭の鮨売の所作を出すということを盗み聞き、三津五郎が鮨売の型をとるために、鮨売になってふれ売りして歩く候《そうろう》の、印物をくれるのと髪床や風呂で評判を立て、本気にして駈けだして来る娘たちをそのまま引っさらって行ったという寸法なのだろう」
 三津五郎は、おとなしくうなずいて、
「差しでがましいと思って、今まで控えておりましたが、大桝屋さんのおはなしがあったとき、たぶんそのへんのところだろうと、わたくしもかんがえておりましたのです」
 顎十郎は、急に改まって、
「話がここまでくりゃア、この事件のヤマが見えたも同然。それについても大和屋、お前さんにひとつ頼みたいことがあるんだが……」
「はい、どんなことですか存じませんが、わたくしの身に叶《かな》うことでしたら」
「頼みというのはほか
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