氏もまず賛成者として始めたのであります。不規則の始めようでありましたからどうかと思っていましたが、無事に五十五巻を即ち第一期を出したということは私自身夢のようであります。一文なしで、しかも拵え始めるとすぐその年に震災に遭うて、そして払い込んで貰った予約金というものはみな焼棄ててしまった。とても仕方がない、止めてしまおうという艱難まで嘗めましたが、一文なしでこんなことが出来るとは思わなかったが、しかもその一文なしで百八十万円の仕事が出来るということを私が証拠立てたというので、稚気の誇りを感じているのであります。
いま十万ばかりの借財が残っておりますが、これはその全体の仕事に比べて見れば何でもない。それは二百部売れば償える。何時か売れるだろう、何時か売れたら返せばよい。向うから破産の申請のない限りは安心して進んでいる。それにいろいろの方面からのご厚意あるお助けもありまして、どうかこうか凌いで終りまでいくだろうと思っておりますが、いかない時には無理もない、一文無しでやったのだとお許しが願いたい。今度のを一緒にしたら二百五十万円ぐらいの仕事になるだろうと思います。一文なしで二百五十万の仕事を
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