東洋文化史における仏教の地位
高楠順次郎

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)浮屠家《ふとけ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三|吠陀《ベーダ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「口+它」、第3水準1−14−88]
−−

         一

 今日ここに講演の機会を与えていただいたことは感謝するところでありますが、果してご満足を得るかどうかを甚だ疑うのであります。書き出しておきました題目はこういう大きな題目でありますが、それの一小部分をお話するようなことに終ってしまうであろうと思うのであります。話の順序といたしましてインドのことが相当に多くを占めることと考えますが、これはどうか予めお許し下さることをお願い申しておきます。
 インドは理想の国であります、理想の国とのみでは分りませんが、理想を製造する国であります。この理想ということを解しなくてインドを統御することはとうてい為し得ないことであります。理想と申しましても非常に
次へ
全72ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
高楠 順次郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング