だから大切と思っていたのだから。その時内藤湖南君が朝日新聞から満洲に行くということであったので実地について調べて貰った。行って見るとその侭にある。ところが黄寺の方では無論分取られると思っておったのにお金を戴いたものでありますから、満洲経は景物としてその侭差し上げましょうということで、陛下のお蔭で満洲経と蒙古経と両大蔵を得たのであります。それを両方とも大学へお下げを戴いた、私は非常に喜んだのであります。その後振天府に入れてありました西蔵の一切経、これも要るなら下げてやろうということでこれも有難く下げて戴いたのであります。
 私はインド雪山の尼波羅《ニポール》国に行きまして梵本の一切経を買い集め随分苦労をして七百部ばかり得た、今では梵本は日本が一番多くを所持している。それまでに満洲のお経を担ぎ込み、蒙古のお経を担ぎ込み、西蔵のを担ぎ込んだ。これらの陛下からお下げ戴いたものを私が担ぎ込んだかの如く厄介視して、場所がないのにこういう読みもしない物を持って来るのは不都合だというので、梵本の一切経は図書館では受取って呉れない。その上にマックス・ミュラー文庫を岩崎男に依頼し買って貰って大学に入れた。
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