五回版にしております。
 それほどたくさん版にされた漢訳の一切経でありますが、それほど力を尽された本場のシナには漢訳の一切経が一版も完全には存していないといってよい。といってはあまりひどいのでありますが、明の一切経は或いは残っておるであろうと思います。清の竜蔵もあるべき筈である。西蔵の一切経、蒙古の一切経もある筈である、が責任をもって保存していないという意味で完全していないというのであります。しかし近頃私が一切経の中に出しました書物の中にも非常に良い書物がある。唐宋の時代の書物がシナで発見せられ朝鮮で発見せられたものもある。広いシナでありますから決してないということは申上げられませんけれども、まず全体として存していない。ところが日本には何れの時代の版も、朝鮮の版もシナの版も日本の版もみな完全に残っているのであります。これは大いにわれわれの誇りとすべきものであります。
 また西蔵の一切経もあり蒙古のもあり満州のもある。満州の一切経はシナにもう一部あるかないかというくらいかと思いますが、元三部あって一部はロシアとフランスに分けられております。一部は奉天の黄寺にあるということでありましたから
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