螺髻も泥灰も斷食も、又地臥も塵糞も蹲踞の勞も疑を離れざる衆生を淨めず。

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露形―苦行の一種。
螺髻―頭髮を切らずして苦行なす事。
泥灰―身に泥灰を塗る、苦行の一種。
塵糞―塵糞中に臥すなり。
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一四二 (身を)嚴飾せずと雖も、行ふ所公平に、寂靜に、調柔に、恣ままならず、淨行を行じ、一切群生を傷害せざる人は婆羅門なり、彼は沙門なり、彼は比丘なり。
一四三甲 誰か世間に於て慚を以て己を制するものぞ、非難の起るを知つて此を避くること良馬の鞭に於けるが如く、
一四三乙 鞭を加へられたる良馬の如く汝等應に努力せよ。
一四四 信に由り戒に由り又勇猛に由り心統一に由りまた眞理の簡擇に由り、明と行とを具足し失念せず、此の少なからざる苦を捨離せよ。
一四五 疏水師は水を導びき、矢人《やつくり》は箭を調へ、木工は木を調へ、善行者は己を調ふ。
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    第十一 老耄の部

一四六 何を笑ひ何ぞ喜ばん、(世は)常に熾然たり、汝等黒闇に擁蔽さる、奚ぞ燈明を求めざる。

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熾然―世の一切萬物悉く無常にして滅壞するを火の熾んに燃
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