あんたは、あなをあけちゃったの、まだ、こないだ買ったばかりじゃないの。
次男  だって、あながあいちゃったんだもの、ぼく知らないや。
母   うそおっしゃい。なにかわるさしたんでしょ。あなたの顔に書いてあります。うそをいう子は、顔が赤くなるからすぐわかります。さあどうしたか、いってごらんなさい。
次男  けんちゃんがわるいんだよ。
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(泣きだす)
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母   ないてもゆるしませんよ。さあ、男の子はなんでも正直に、男らしくいうもんです。
次男  けんちゃんがレンズを持ってきて、黒いもんならなんでも燃えるから、やってごらんっていったから、ぼくうそだと思って……。
母   それごらんなさい。あなたは、そんなことをするんです。
次男  だって、けんちゃんが……。
母   そらまたもうひとつ。あんたはわるいことをしたうえ、ひとに罪をなすりつけるのね、ふたつもよくないことをしたんですよ。そんな子はもう、おかあさんの子じゃありませんよ。
長女  ごめんなさいって、あやまりなさいよ、次郎ちゃん。
次男  かあさん
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