病む子の祭
新美南吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)岡《おか》のふもと

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)長女|縁側《えんがわ》に出て空をあおぐ

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから6字下げ]
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[#ここから6字下げ]

長男
長女
次男
三男(病気の子)

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岡《おか》のふもとの竹やぶにかこまれた小さい家。
母親が子どもたちに祭の晴着《はれぎ》をきせている。
花火の音。笛、太鼓《たいこ》のゆるやかな、かすかなはやし。
[#ここで字下げ終わり]

[#ここから改行天付き、折り返して3字下げ]
母   よごすんじゃないよ。いつもの着物とちがうんだからね、土塀《どべい》にもたれたり、土いじりしちゃいけないんだよ。それから、袖《そで》ではなをふいたりしないでね。ふところから鼻紙を出してはなをかむんだよ。
長男  ごわごわするなあ、この着物。
母   いい着物だからさ。ほらいいにおいがするでしょう。
長男  薄荷《はっか》みたいにすうっとするね。ぼくなんだか、心が軽くなったみ
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