病む子の祭
新美南吉
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)岡《おか》のふもと
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)長女|縁側《えんがわ》に出て空をあおぐ
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから6字下げ]
−−
[#ここから6字下げ]
母
長男
長女
次男
三男(病気の子)
[#ここから4字下げ]
岡《おか》のふもとの竹やぶにかこまれた小さい家。
母親が子どもたちに祭の晴着《はれぎ》をきせている。
花火の音。笛、太鼓《たいこ》のゆるやかな、かすかなはやし。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して3字下げ]
母 よごすんじゃないよ。いつもの着物とちがうんだからね、土塀《どべい》にもたれたり、土いじりしちゃいけないんだよ。それから、袖《そで》ではなをふいたりしないでね。ふところから鼻紙を出してはなをかむんだよ。
長男 ごわごわするなあ、この着物。
母 いい着物だからさ。ほらいいにおいがするでしょう。
長男 薄荷《はっか》みたいにすうっとするね。ぼくなんだか、心が軽くなったみ
次へ
全26ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
新美 南吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング