》に晴れています。どこまでも澄《す》んでいます。
赤とんぼは、窓《まど》に羽《はね》を休めて、書生さんのお話に耳をかたむけています、かあいいおじょうちゃんと同じように。
「それからね、そのとんぼは、怒《おこ》って大|蜘蛛《ぐも》のやつにくいかかりました。くいつかれた大|蜘蛛《ぐも》は、痛《いた》い! 痛《いた》い! 助けてくれってね、大声にさけんだのですよ。すると、出て来たわ、出て来たわ、小さな蜘蛛《くも》が、雲のように出て来ました。けれども、とんぼは、もともと強いんですから、片端《かたはし》から蜘蛛《くも》にくいついて、とうとう一|匹《ぴき》残《のこ》らず殺《ころ》してしまいました。ホッとしてそのとんぼが、自分の姿《すがた》を見ると、これはまあどうでしょう、蜘蛛《くも》の血が、まっかについてるじゃありませんか。さあ大変だって、とんぼは、泉へ飛んで行って、からだを洗《あら》いました。が、赤い血はちっともとれません。で、神様にお願《ねが》いしてみると、お前は、罪《つみ》の無い蜘蛛《くも》をたくさん殺《ころ》したから、そのたたりでそんなになったんだと、叱《しか》られてしまいました。そのと
前へ
次へ
全8ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
新美 南吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング