足にあてて見なければわかりません。義則君が、お父さんか何ぞのように、文六ちゃんの足に下駄をあてがってくれました。何しろ文六ちゃんは、一人きりの子供で、甘えん坊でした。
 ちょうど文六ちゃんが、新しい下駄をはいたときに、腰のまがったお婆《ばあ》さんが下駄屋さんにはいって来ました。そしてお婆さんはふとこんなことをいうのでした。
「やれやれ、どこの子だか知らんが、晩げに新しい下駄をおろすと狐《きつね》がつくというだに」
 子供たちはびっくりしてお婆さんの顔を見ました。
「嘘《うそ》だい、そんなこと」
とやがて義則君がいいました。
「迷信だ」
とほかの一人がいいました。
 それでも子供たちの顔には何か心配な色がただよっていました。
「ようし、そいじゃ、小母さんがまじないしてやろう」
と、下駄屋の小母さんが口軽くいいました。
 小母さんは、マッチを一本するまねして、文六ちゃんの新しい下駄のうらに、ちょっと触《さわ》りました。
「さあ、これでよし。これでもう、狐も狸《たぬき》もつきゃしん」
 そこで子供たちは下駄屋さんを出ました。

            三

 子供たちは綿菓子《わたがし》を喰
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