が呼びました。
文六ちゃんは月の光でも、やせっぽちで、色の白い、眼玉の大きいことのわかる子供です。できるだけいそいでみんなに追いつこうとしました。
「んでも俺《おれ》、おっ母《か》ちゃんの下駄《げた》だもん」
と、とうとう鼻をならしました。なるほど細長いあしのさきには大きな、大人《おとな》の下駄がはかれていました。
二
本郷にはいるとまもなく、道ばたに下駄屋さんがあります。
子供たちはその店にはいってゆきました。文六ちゃんの下駄を買うのです。文六ちゃんのお母さんに頼まれたのです。
「あののイ、小母《おば》さん」
と、義則《よしのり》君が口をとがらして下駄屋の小母さんにいいました。
「こいつのイ、樽屋《たるや》の清《せい》さの子供だけどのイ、下駄を一足やっとくれや。あとから、おっ母さんが銭《ぜに》もってくるげなで」
みんなは、樽屋の清さの子供がよく見えるように、まえへ押しだしました。それは文六ちゃんでした。文六ちゃんは二つばかり眼《ま》ばたきしてつっ立っていました。
小母さんは笑い出して、下駄を棚《たな》からおろしてくれました。
どの下駄が足によくあうかは、
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