びの終わるときがくるものだが、最後にツルと林太郎とふたりで花をかくし私がひとりおにになった。「よし」といわれて私はさがしにいったが、いくらさがしてもみあたらない。「もっと向こうよ、もっと向こうよ」とツルがいうままにそのあたりをなでまわるがどうしてもみあたらない。林太郎《りんたろう》はにやにや笑《わら》って常夜燈《じょうやとう》にもたれてみている。林太郎はただツルの花をうずめるのをみていただけに相違《そうい》ない。「お茶わかしたよ」ととうとう私はかぶとをぬいだ。すれば、ツルの方で意外のところから花のありかを指摘《してき》してみせるのが当然なのだがツルはそうしなかった。「そいじゃ明日《あした》さがしな」といった。
私は残念でたまらなかったのでまた地びたをはいまわったがついにみつからなかった。でその日は家に帰った。たびたび常夜燈《じょうやとう》の下の広くもない地びたを眼《め》にうかべた。そのどこかに、ツルがつくったところのこの世のものならぬ美しさをひめた花のパノラマがあることを思った。その花や南京玉《なんきんだま》の有様《ありさま》が手にとるように閉《と》じた眼《め》にみえた。
朝起きる
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