花をうめる
新美南吉
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)当時《とうじ》
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その遊びにどんな名がついているのか知らない。まだそんな遊びをいまの子どもたちがはたしてするのか、町を歩くとき私は注意してみるがこれまでみたためしがない。あのころつまり私たちがその遊びをしていた当時《とうじ》でさえ、他《た》の子どもたちはそういう遊びを知っていたかどうかもあやしい。いちおう私と同年輩《どうねんぱい》の人にたずねてみたいと思う。
なんだか私たちのあいだにだけあり、後にも先にもないもののような気がする。そう思うことは楽しい。してみると私たちのなかまのたれかが創案《そうあん》したのだが、いったいたれだろう、あんなあわれ深い遊戯《ゆうぎ》をつくり出したのは。
その遊びというのは、ふたりいればできる。ひとりがかくれんぼのおにのように眼《め》をつむって待っている。そのあいだに他のひとりが道ばたや畑にさいているさまざまな花をむしってくる。そして地べたに茶飲茶碗《ちゃのみちゃわん》ほどの――いやもっと小さい、さかずきほどの穴《あな》をほりその中にとってきた花をいい按配《あん
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