ばい》に入れる。それから穴《あな》に硝子《がらす》の破片《はへん》でふたをし、上に砂《すな》をかむせ地面の他の部分とすこしもかわらないようにみせかける。
「ようしか」とおにが催促《さいそく》する、「もうようし」と合図《あいず》する。するとおにが眼《め》をあけてきてそのあたりをきょろきょろとさがしまわり、ここぞと思うところを指先でなでて、花のかくされた穴《あな》をみつけるのである。それだけのことである。
だがその遊びに私たちが持った興味《きょうみ》は他の遊びとはちがう。おににかくしおおせて、おにを負かしてしまうということや、おにの方では、早くみつけて早くおにをやめるということなどにはたいして興味《きょうみ》はなかった。もっぱら興味《きょうみ》の中心はかくされた土中の一握《ひとにぎり》の花の美しさにつながっていた。
砂《すな》の上にそっとはわせてゆく指先にこつんとかたいものがあたるとそこに硝子《がらす》がある。硝子《がらす》の上の砂《すな》をのける。だがほんのすこし。ちょうど人さし指の頭のあたる部分だけ。穴《あな》からのぞく。そこには私たちのこのみなれた世界とは全然別の、どこかはるかな
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