はみんなを鐘楼《しゅろう》の下《した》に一|列《れつ》励行《れいこう》させた。そして一人《ひとり》ずつ石段《いしだん》をあがってつくのだが、一人《ひとり》のつく数《かず》は三つにきめられた。お菓子《かし》の配給《はいきゅう》のときのことをおもい出《だ》して、僕《ぼく》はおかしかった。だが、ごんごろ鐘《がね》を最後《さいご》に三つずつ鳴《な》らさせてもらうこの「配給《はいきゅう》」は、お菓子《かし》の配給《はいきゅう》以上《いじょう》にみんなに満足《まんぞく》をあたえた。
最後《さいご》に吉彦《よしひこ》さんがじぶんで、大《おお》きく大《おお》きく撞木《しゅもく》を振《ふ》って、がオオんん、とついた。わんわんわん、と長《なが》く余韻《よいん》がつづいた。すると吉彦《よしひこ》さんが、
「西《にし》の谷《たに》も東《ひがし》の谷《たに》も、北《きた》の谷《たに》も南《みなみ》の谷《たに》も鳴《な》るぞや。ほれ、あそこの村《むら》も、あそこの村《むら》も、鳴《な》るぞや。」
と、謎《なぞ》のようなことをいった。
「ほんとだ、ほんとだ。」
と、樽屋《たるや》の木之助《きのすけ》爺《じい》さん
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