ごんごろ鐘
新美南吉
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)八日《ようか》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三|月《がつ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#「ごオん」に傍点]
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三|月《がつ》八日《ようか》
お父《とう》さんが、夕方《ゆうがた》村会《そんかい》からかえって来《き》て、こうおっしゃった。
「ごんごろ鐘《がね》を献納《けんのう》することにきまったよ。」
お母《かあ》さんはじめ、うちじゅうのものがびっくりした。が、僕《ぼく》はあまり驚《おどろ》かなかった。僕《ぼく》たちの学校《がっこう》の門《もん》や鉄柵《てつさく》も、もうとっくに献納《けんのう》したのだから、尼寺《あまでら》のごんごろ鐘《がね》だって、お国《くに》のために献納《けんのう》したっていいのだと思《おも》っていた。でも小《ちい》さかった時《とき》からあの鐘《かね》に朝晩《あさばん》したしんで来《き》たことを思《おも》えば、ちょっとさびしい気《き》もする。
お母《かあ》さんが、
「まあ、よく庵主《あんじゅ》さんがご承知《し
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