ょうち》なさったね。」
とおっしゃった。
「ん、はじめのうちは、村《むら》の御先祖《ごせんぞ》たちの信仰《しんこう》のこもったものだからとか、ご本山《ほんざん》のお許《ゆる》しがなければとかいって、ぐずついていたけれど、けっきょく気《き》まえよく献納《けんのう》することになったよ。庵主《あんじゅ》だって日本人《にほんじん》に変《か》わりはないわけさ。」
ところで、このごんごろ鐘《がね》を献納《けんのう》するとなると、僕《ぼく》はだいぶん書《か》きとめておかねばならないことがあるのだ。
第《だい》一、ごんごろ鐘《がね》という名前《なまえ》の由来《ゆらい》だ。樽屋《たるや》の木之助《きのすけ》爺《じい》さんの話《はなし》では、この鐘《かね》をつくった鐘師《かねし》がひどいぜんそく持《も》ちで、しょっちゅうのどをごろごろいわせていたので、それが鐘《かね》にもうつって、この鐘《かね》を叩《たた》くと、ごオん[#「ごオん」に傍点]のあとに、ごろごろ[#「ごろごろ」に傍点]という音《おと》がかすかに続《つづ》く、それで誰《だれ》いうとなく、ごんごろ[#「ごんごろ」に傍点]鐘《がね》と呼《よ》ぶ
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