》にたんぽぽをやっていると、用吉君《ようきちくん》が、今《いま》おろすところだよ、といって来《き》たので、遅《おく》れちゃたいへんと、桑畑《くわばたけ》の中《なか》の近道《ちかみち》を走《はし》っていった。四郎五郎《しろごろう》さんの藪《やぶ》の横《よこ》までかけて来《く》ると、まだ三百|米《メートル》ほど走《はし》ったばかりなのに、あつくなって来《き》たので、上衣《うわぎ》をぬいでしまった。
 尼寺《あまでら》へ来《き》て見《み》て、僕《ぼく》はびっくりした。まるでお祭《まつ》りのときのような人出《ひとで》である。いや、お祭《まつ》りのとき以上《いじょう》かも知《し》れない。お祭《まつ》りには若《わか》い者《もの》や子供《こども》はたくさん出《で》て来《く》るが、こんなに老人《ろうじん》までがおおぜい出《で》て来《き》はしないのだ。杖《つえ》にすがった爺《じい》さん、あごが地《ち》につくくらい背《せ》がまがって、ちょうど七面鳥《しちめんちょう》のようなかっこうの婆《ばあ》さん、自分《じぶん》では歩《ある》かれないので、息子《むすこ》の背《せ》におわれて来《き》た老人《ろうじん》もあっ
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