「僕《ぼく》に一つ新《あたら》しい提案《ていあん》がある。」
といった。みんなは何《なん》だろうかと思《おも》った。
「それは、今《いま》のお爺《じい》さんを町《まち》までつれていって、ごんごろ鐘《がね》にあわしてあげることだ。」
みんなは黙《だま》ってしまった。なるほどそれは、誰《だれ》もが胸《むね》の中《なか》でおもっていたことだ。いいことには違《ちが》いない。しかしみんなは、昨日《きのう》、町《まち》まで行《い》って来《き》たばかりであった。また今日《きょう》も、同《おな》じ道《みち》を通《とお》って同《おな》じところに行《い》って来《く》るというのは面白《おもしろ》いことではない。
しかし、
「賛成《さんせい》。」
と、紋次郎君《もんじろうくん》がしばらくしていった。
「僕《ぼく》も賛成《さんせい》。」
と勇気《ゆうき》をふるって僕《ぼく》がいった。すると、あとのものもみな賛成《さんせい》してしまった。
「本日《ほんじつ》の常会《じょうかい》、これで終《お》わりッ。」
と松男君《まつおくん》が叫《さけ》んで、たあッと門《もん》の外《そと》へ走《はし》り出《だ》した。みんな
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