在《げんざい》、また未來《みらい》のことを考《かんが》へたらきつとお互《たがひ》になにかのつながりを持《も》つてるに違《ちが》いないといふやうな氣《き》がした。
 やがて二人《ふたり》は、あるレストランドの二|階《かい》の一|隅《すみ》に腰《こし》をおろした。まち子《こ》は疲《つか》れた身體《からだ》をそつと椅子《いす》にもたれて、靜《しづ》かな下《した》の道《みち》をのぞこふと窓《まど》をのぞくと、窓際《まどぎは》に川柳《かはやなぎ》の青白《あをしろ》い細《ほそ》い葉《は》が夜《よる》の空《まど》[#ルビの「まど」はママ]に美《うつく》しくのびてた。
 まち子《こ》は、いつまでもいつまでも誰《たれ》も何《なに》も云《い》はなかつたら、その青白《あをしろ》い細《ほそ》い葉《は》の川柳《かはやなぎ》[#ルビの「かはやなぎ」は底本では「かはなぎ」]を見《み》つめてゐたかもしれない。この川柳《かはやなぎ》も古郷《こきやう》に多《おほ》い。彼女《かれ》は、それをじつと見《み》つめてゐると、また昔處女《むかしゝよぢよ》であつた折《をり》に、病《やまひ》の爲《た》めに常《つね》に淋《さび》しかつた
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