追憶
素木しづ

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)秋《あき》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)八|年《ねん》ばかり

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)あつた。[#「あつた。」は底本では「あつた」]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)とう/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

 また秋《あき》になつて、まち子《こ》夫婦《ふうふ》は去年《きよねん》とおなじやうに子供《こども》の寢《ね》てる時《とき》の食後《しよくご》などは、しみ/″\と故郷《こきやう》の追憶《つひおく》にふけるのであつた。
 今年《ことし》もとう/\行《ゆ》かれなかつたと、お互《たがひ》に思《おも》ひながらも、それがさしてものなげきでなく、二人《ふたり》の心《こゝろ》にはまた來年《らいねん》こそはといふ希望《のぞみ》が思浮《おもひうか》んでゐるのであつた。[#「あつた。」は底本では「あつた」]
 まち子《こ》の夫《をつと》の末男《すゑを》は、偶然《ぐうぜん》にも彼女《かれ》とおなじ北海道《ほくか
次へ
全17ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
素木 しづ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング