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裁判所長《チーフ・ジャスティス》の俸給………………………………五〇〇弗《ドル》
政務長官の俸給………………………………四一五弗
警察署長(瑞典《スウェーデン》人)の俸給…………………一四〇弗
裁判所長秘書官の俸給………………………一〇〇弗
サモア王ラウペパの俸給………………………九五弗
[#ここで字下げ終わり]
一斑《いっぱん》推して全豹《ぜんぴょう》を知るべし。之が新政府下のサモアなのだ。
植民政策に就いて何一つ知りもせぬ文士のくせに、出しゃばって、無智な土人に安っぽい同情を寄せるR・L・S・氏は、宛然《さながら》ドン・キホーテの観があるそうな。之は、アピアの一英人の言葉である。あの奇矯な義人の博大な人間愛に比べられた光栄を、先ず、感謝しよう。実際私は政治に就いて何一つ知らないし、又、知らないことを誇ともしている。植民地、或いは、半植民地に於て、何が常識になっているか、をも知らぬ。仮令《たとえ》、知っていたとしても、私は文学者だから、心から納得の行かない限り、そんな常識を以て行為の基準とする訳には行かない。
本当に、直接《じか》に、心に沁《し》みて感じられるもの、
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