授して、イソベルに筆記させた。午後、書信を数通したため、夕方近く台所に出て来て、晩餐《ばんさん》の支度をしている妻の傍で冗談口をききながら、サラダを掻きまぜたりした。それから、葡萄酒《バーガンディ》を取出すとて、地階へ下りて行った。瓶を持って妻の傍まで戻って来た時、突然、彼は瓶を手から落し、「頭が! 頭が!」と言いながら其の場に昏倒《こんとう》した。
直ぐに寝室に担ぎ込まれ、三人の医者が呼ばれたが、彼は二度と意識を回復しなかった。
「肺臓|麻痺《まひ》を伴う脳溢血《のういっけつ》」之が医師の診断であった。
翌朝、ヴァイリマは、土人の弔問客達から贈られた野生の花・花・花で埋められた。
ロイドは、自発的に勤労を申出た二百人の土人を指揮して、未明から、ヴァエア山巓《さんてん》への道を斫《き》り拓《ひら》いていた。其の山頂こそ、スティヴンスンが、生前、埋骨の地と指定して置いた所だった。
風の死んだ午後二時、棺が出た。逞《たくま》しいサモア青年達のリレーによって、叢林《そうりん》中の新しい道を、山巓に向って運ばれるのである。
四時、六十人のサモア人と、十九人の欧羅巴《ヨーロッパ》人と
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