《きれめ》から時折、暁近い鈍い白さが、海と野の上に流れる。天地は未だ色彩を有《も》たぬ。北欧の初冬に似た、冷々した感じだ。
 湿気を含んだ烈風が、まともに吹付ける。大王|椰子《やし》の幹に身を支え、辛うじて私は立っていた。何かしら或る不安と期待のようなものが心の隅に湧いて来るのを感じながら。
 昨夜も私は長いことヴェランダに出て、荒い風と、それに交る雨粒とに身をさらしていた。今朝も斯《こ》うやって強い風に逆らって立っている。何か烈しいもの、兇暴《きょうぼう》なもの、嵐のようなものに、ぐっ[#「ぐっ」に傍点]とぶっつかって行きたいのだ。そうすることによって、自分を一つの制限の中に閉込めている殻を叩きつぶしたいのだ。何という快さだろう! 四大の峻烈《しゅんれつ》な意志に逆らって、雲と水と丘との間に屹然《きつぜん》と独り目覚めてあることは! 私は次第にヒロイックな気持になって行った。‘O! Moments big as years.’とか、‘I die, I faint, I fail.’とか、とりとめない文句を私は喚いた。声は風に千切られて飛んで行った。明るさが次第に、野に丘に海に加わって
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