暫く住んで死体運搬人を勤めた後、再び島から島への放浪を続けた。或る朝、船上で髭《ひげ》を剃《そ》っているとき、彼[#「彼」は底本では「後」]は背後《うしろ》から船長に呼掛けられた。「おい! どうしたんだ? 君は耳を剃落しちゃったじゃないか!」気が付くと、彼は自分の耳を剃落しており、しかも、それを知らなかったのだ。彼は直ちに意を決して、癲病島モロカイに移り住み、其処で、不平もなく悔もない余生を送った。その呪《のろ》われた島を私が訪ねた時、此の男は極めて快活な様子で、過去の自分の冒険|譚《たん》を聞かせて呉れた。
 アペママの独裁者テムビノクは今、どうしているかと思う。王冠の代りにヘルメット帽をかぶり、スカアトの様な短袴《キルト》を着け、欧羅巴式の脚絆《ゲートル》を巻いた、この南海のグスターフ・アドルフは大変に珍しいもの好き[#「珍しいもの好き」に傍点]で、赤道直下の彼の倉庫にはストーヴがしこたま[#「しこたま」に傍点]買込まれていた。彼は白人を三通りに区別していた。「余を少しく欺《だま》した者」「余を相当に欺した者」「余を余りにも酷《ひど》く欺した者」。私の帆船が彼の島を立去る時、豪毅《
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