、と笑いながら、軽い空咳《からせき》をした。
 之は抗《あらが》い難きニヒリズムである。家に帰って寝に就いてからも、此の男の言葉の・極めて叮嚀《ていねい》な・しかし救いの無い調子が耳について仕方がない。Strange are the ways of men.
 此処に定住する前、スクーナーで島々を経《へ》廻《めぐ》っていた間にも、私は実に色々な人間に遇った。
 白人は愚か、土人さえ稀なマルケサスの裏海岸に自分で小舎を作り、唯一人(海と空と椰子樹《やしじゅ》の間に全く唯一人)一冊のバアンズと一冊のシェイクスピアを友として住んでいる(そして少しの悔もなく其の地に骨を埋めようとしている)亜米利加《アメリカ》人もいた。彼は船大工だったのだが、若い頃南洋のことを書いた書物を読んで熱帯の海への憧憬に堪えかね、竟《つい》に故国を飛出して其の島に来ると、其の儘《まま》住みついて了ったのだ。私が其の海岸に寄った時、彼は詩を作って贈って呉れた。
 或るスコットランド人は、太平洋の島々の中で最も神秘的なイースター島(其処では、今は絶滅した先住民族の残した怪異巨大な偶像が無数に、全島を蔽《おお》うている。)に
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