つ》だ。初めは腹が立ったが、近頃は寧《むし》ろ光栄を覚えるくらいだ。
「見よ。これが俺の位置だ。俺は森の中に住む一平凡人だのに、何と彼等が俺一人を目の敵《かたき》にやっき[#「やっき」に傍点]となることか! 彼等が毎週繰返して、俺には勢力が無いと吹聴《ふいちょう》せねばならぬ程、俺は勢力を有《も》っている訳だ。」
攻撃は街からばかりではない。海を越えて遥か彼方からもやって来る。こんな離れ島にいても尚、批評家共の声は届くのだ。何と色々な事を言う奴が多いことだ! おまけに、褒める者も貶《けな》す者も、共に誤解の上に立っているのだから遣り切れない。褒貶《ほうへん》に拘《かか》わらず兎に角私の作品に完全な理解を示して呉れるのは、ヘンリイ・ジェイムズ位のものだ。(しかも、彼は小説家であって、批評家ではない。)優れた個人が或る雰囲気の中に在ると、個人としては想像も出来ぬような集団的偏見を有つに至るものだ、という事が、斯《こ》うして、狂える群より遠く離れた地位にいると、実に良く解るような気がする。此の地の生活の齎《もたら》した利益の一つは、ヨーロッパ文明を外部から捉われない眼で観ることを学んだ点
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