きっと》、王が嫉妬《やきもち》をやくから。」と。私の頸に掛けたウラ[#「ウラ」に傍点]も、元々ラウペパの欲しがっていたものだそうだ。王へのあてつけ[#「あてつけ」に傍点]が囚人酋長等の目的の一つなのだ。贈物の山を車に積み、紅い頸飾りを着け、馬に跨《また》がって、サーカスの行列宜しく、私はアピアの街の群集の驚嘆の中を悠々と帰った。王の家の前をも通ったが、果して、彼が嫉妬《しっと》を覚えたか、どうか。
十二月×日
難航の「退潮《エッブ・タイド》」やっと終る。悪作?
近頃引続いてモンテエニュの第二巻を読んでいる。曾《かつ》て二十歳《はたち》前に、文体習得の目的を以て此の本を読んだことがあるのだから、全く呆れたものだ。あの頃、此の本の何が私に判ったろう?
斯《こ》うしたどえらい[#「どえらい」に傍点]書物を読んだ後では、どんな作家も子供に見えて、読む気がしなくなる。それは事実だ。しかし、それでも尚、私は、小説が書物の中で最上(或いは最強)のものであることを疑わない。読者にのりうつり、其の魂を奪い、其の血となり肉と化して完全に吸収され尽すのは、小説の他にない。他の書物にあっては、何かしら
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