のようである。何に? はっきりしない。沼沢地の雨の古い記憶?
私はヴェランダに出て、雨垂の音を聞く。何かおしゃべりがしたくなる。何を? 何か、こう苛烈《かれつ》なことを。自分の柄にもないことを。世界は一つの誤謬《ごびゅう》であることに就いて、など。何故の誤謬? 別に仔細《しさい》はない。私が作品を巧《うま》く書けないから。それから又、大小様々の、余りに多くの下らないうるさい事が耳に入るから。だが、其の、うるさい重荷の中でも、絶えず収入を得て行かねばならぬという永遠の重荷に比べられるものはない。いい気持に寝ころがって、二年間も制作から離れていられる所があったら! 仮令《たとえ》それが癲狂院《てんきょういん》であっても、私は行かないであろうか?
十一月××日
我が誕生日の祝が、下痢のため一週間遅れて今日行われた。十五頭の仔豚の蒸焼。百ポンドの牛肉。同量の豚肉。果物。レモネードの匂。コーヒーの香。クラレット・ヌガ。階上階下共に、花・花・花。六十の馬|繋《つな》ぎ場を急設する。客は百五十人も来たろうか。三時頃から来て、七時に帰った。海嘯《つなみ》の襲来のようだ。大酋長《だいしゅうちょう》
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