て進行しつつある。
私は、自分が、今、知的生活を送る人間に通有の、一つの転換期にあるのだという事を知っているが故に、絶望はしない。しかし、私が、私の文学の行詰りにぶっつかっているのは事実だ。「セント・アイヴス」にも自信が持てない。安っぽい小説《ロマンス》だ。
若い時に、何故、着実平凡な商売を選ばなかったかと、今、ふと、そんな気がする。そういう商売にはいっていたら、今の様なスランプの時にも、立派に自分を支えて行けたろうに。
私の技巧は私を見棄て、インスピレーションも、それから、私が永い間の英雄的な努力によって習得したスタイル迄が失われたように思われる。スタイルを失った作家は惨めだ。今迄無意識に働かしていた不随意筋を、一々意志を以て動かさねばならないのだから。
しかし、一方「難破船引揚業者《レッカー》」の売行が大変良いそうだ。「カトリオーナ」(デイヴィッド・バルフォアの改題)の方が不評で、あんな作品の方が売れるなどとは、皮肉だが、兎に角余り絶望しないで二番芽生を待つことにしよう。今後私の健康が回復して、頭の方まで快くなるようなことは、到底あり得まいが。但し、文学なるものは、考え方に
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