に、スティヴンスンは何一つして遣れなかった。マターファは彼をあんなに信頼していたのに。文通の手段の絶たれたマターファは恐らく、スティヴンスンのことを、親切そうなことを言いながら結局何一つ実際にはして呉れない白人[#「白人」に傍点](ありきたりの白人[#「白人」に傍点])に過ぎなかったのだと、失望しているのではないか?
戦死者の一族の女が、戦死の場所へ行って花蓆《はなむしろ》を其処に拡げる。蝶とか其の他の昆虫が来て、それにとまる。一度追う。逃げる。又追う。逃げる。それでも三度目に其処へとまりに来たら、それは其処で戦死した者の魂と見做《みな》される。女は其の虫を叮寧《ていねい》に捕え、家に持帰って祀《まつ》るのである。こうした傷心の風景が随処に見られた。一方、投獄された酋長達が毎日|笞《むち》打《う》たれているという噂もあった。こうした事を見《み》聞《きき》するにつけ、スティヴンスンは、自らを、何の役にも立たぬ文士として責めた。久しく止めていたタイムズヘの公開状も再び書始められた。肉体の衰弱と制作の不活溌《ふかっぱつ》とに加えて、自己に対し、世界に対しての、名状し難い憤りが、彼の日々を支
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