゚に増大し、次に減少する。けだしこの函数は初め増大し、次に減少する函数の合計であるからである。この場合には、商品(A)、(C)、(D)……は商品(B)と比較的には次第に安くなるわけであり、そしてこれらの商品の需要は、これらの需要に伴う(B)の供給と同時に順次に現われてくるのである。だがこの供給は無限には増加しない。少くともそれは所有全量より大なることの出来ない一つの最大を通過し、次に減少し、pb[#「b」は下付き小文字] が無限となればすなわち(A)、(C)、(D)……が無償となれば、ついにゼロに帰る。
一二九 これらの条件のうちに、そして Ob[#「b」は下付き小文字] がゼロであることを已《や》める以前に Db[#「b」は下付き小文字] がゼロとなって、解法不能となるのでなければ、――この場合は交換者の間に多数の商品を所有する者がある場合には現われ得ないのであるが―― Ob[#「b」は下付き小文字] と Db[#「b」は下付き小文字] とを相等しからしめる pb[#「b」は下付き小文字] のある値が存在する。この値を見出すには、もし価格が p'b[#「b」は下付き小文字] であるとき、Y'>0 ならば、すなわち D'b[#「b」は下付き小文字]>O'b[#「b」は下付き小文字] ならば、p'b[#「b」は下付き小文字] を増大せねばならぬし、もしまた価格が p'b[#「b」は下付き小文字] であるとき Y'<0 ならばすなわち O'b[#「b」は下付き小文字]>D'b[#「b」は下付き小文字] ならば、p'b[#「b」は下付き小文字] を減ぜねばならぬ。かようにして次の方程式が得られる。
[#ここから4字下げ]
Fb[#「b」は下付き小文字](p''b[#「b」は下付き小文字][#「b」は底本では欠落], p'c[#「c」は下付き小文字], p'd[#「d」は下付き小文字] ……)=0
[#ここで字下げ終わり]
この操作が行われると不等式
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_106.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
は、
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_107.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
となる。しかし価格が p'c[#「c」は下付き小文字] であるとき、Z'>0 であれば、すなわち D'c[#「c」は下付き小文字][#「c」は底本では「b」]>O'c[#「c」は下付き小文字] であれば、p'c[#「c」は下付き小文字] を増大し、また価格が p'c[#「c」は下付き小文字] であるとき、Z'<0 であれば、すなわち O'c[#「c」は下付き小文字]>D'c[#「c」は下付き小文字] であれば、p'c[#「c」は下付き小文字] を減少して、方程式
[#ここから4字下げ]
Fc[#「c」は下付き小文字](p''b[#「b」は下付き小文字], p''c[#「c」は下付き小文字], p'd[#「d」は下付き小文字] ……)=0
[#ここで字下げ終わり]
を得ることが出来る。
同様にして、方程式
[#ここから4字下げ]
Fd[#「d」は下付き小文字](p''[#「''」は底本では欠落]b[#「b」は下付き小文字], p''c[#「c」は下付き小文字], p''d[#「d」は下付き小文字] ……)=0
[#ここで字下げ終わり]
が得られ、以下同様である。
一三〇 これらのすべての操作を行えば、
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_108.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
が得られる。ここでこの不等式が、当初の不等式
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_109.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
より等式に近いことを証明せねばならぬ。ところで、p'b[#「b」は下付き小文字] から、右の最後の不等式を等式たらしめる p''b[#「b」は下付き小文字] への変化は直接的影響を生じ、少くとも(B)の需要についてはすべて同一方向の直接的影響を生ずることを思い、また反対に p'c[#「c」は下付き小文字], p'd[#「d」は下付き小文字] から、先の不等式を等式より遠からしめる p''c[#「c」は下付き小文字], p''d[#「d」は下付き小文字] への変化は間接的影響を生じ、少くとも(B)の需要については、互に反対の方向をとりつつある点まで相殺する影響をもつものであることを想えば、右の不等式が当初の不等式より均等により近いことは、確かであろう。この理由によって、新しい価格 p''b[#「b」は下付き小文字], p''c[#「c」は下付き小文字], p''d[#「d」は下付き小文字] ……の体系は旧価格 p'b[#「b」は下付き小文字], p'c[#「c」は下付き小文字], p'd[#「d」は下付き小文字][#「d」は底本では「d'」] ……の体系より均衡に近いのであり、同じ方法を連続すれば、いよいよこれに近づくのである。
よって、価値尺度財を仲介として多数の商品の間に行われる交換の場合における均衡価格の成立の法則を、次の如く表現することが出来る。――多数の商品が与えられ[#「多数の商品が与えられ」に傍点]、それらの交換は価値尺度財の仲介によって行われるとして[#「それらの交換は価値尺度財の仲介によって行われるとして」に傍点]、これらの商品に関し[#「これらの商品に関し」に傍点]、市場の均衡があるべきためには[#「市場の均衡があるべきためには」に傍点]、換言すれば価値尺度財で表わしたこれらすべての商品の静止的価格が存在するためには[#「換言すれば価値尺度財で表わしたこれらすべての商品の静止的価格が存在するためには」に傍点]、これらの価格において[#「これらの価格において」に傍点]、各商品の有効需要とその有効供給とが等しくなければならず[#「各商品の有効需要とその有効供給とが等しくなければならず」に傍点]、また等しければ足るのである[#「また等しければ足るのである」に傍点]。この均等が存在しない場合に[#「この均等が存在しない場合に」に傍点]、均衡価格に達するためには[#「均衡価格に達するためには」に傍点]、有効需要が有効供給より大なる商品に価格の騰貴がなければならぬし[#「有効需要が有効供給より大なる商品に価格の騰貴がなければならぬし」に傍点]、有効供給が有効需要より大なる商品に価格の下落がなければならぬ[#「有効供給が有効需要より大なる商品に価格の下落がなければならぬ」に傍点]。
[#改ページ]
第十三章 商品の価格の変動の法則
[#ここから8字下げ]
要目 一三一 多数商品間の交換の解析的定義。一三二 一般均衡状態における任意の二商品の稀少性の比率がすべての交換者について等しいこと。一三三、一三四 交換価値と稀少性の比例性、欲望曲線の不連続性の場合に関する留保、需要がゼロの場合、または供給が所有量に等しい場合に関する留保。一三五 平均稀少性。一三六 交換価値が不定かつ恣意的な条件。一三七 利用の変化及び量の変化による価格の変化、利用及び量の同時的変化による価格の固着性。一三八 供給と需要の法則について。
[#ここで字下げ終わり]
一三一 以上に述べてきた所によって明らかなように、多数の商品があるときも、二商品しか存在しないときと同じく、市場価格または均衡価格の成立の必要にしてかつ充分な要素は、所有者が所有する商品の量と、交換者に対するこれらの商品の利用方程式または欲望の方程式とであって、これらの方程式は常に曲線に表わされ得る。そしてこれらの構成要素から、(一)部分的及び総需要または供給の方程式、(二)市場価格すなわち均衡価格が出てくる。ただ、一方最大満足の条件と、他方任意の二商品間の価格がただ一つであってかつ総需要と総供給とが相等しくなければならぬという条件との二条件に、価格の一般均衡の条件を附け加えねばならぬ。
だから――自由競争によって支配される市場における多数の商品相互の間の交換は[#「自由競争によって支配される市場における多数の商品相互の間の交換は」に傍点]、これら商品の一種または多種またはすべての種類の所有者のすべてが欲望の最大満足を得ることの出来る行動である[#「これら商品の一種または多種またはすべての種類の所有者のすべてが欲望の最大満足を得ることの出来る行動である」に傍点]。ただしこの欲望の最大満足とは[#「ただしこの欲望の最大満足とは」に傍点]、任意の二商品が共通で同一なる比率で互に交換せられるのみでなく[#「任意の二商品が共通で同一なる比率で互に交換せられるのみでなく」に傍点]、またこれら二商品が他の任意の第三の商品と交換せられて[#「またこれら二商品が他の任意の第三の商品と交換せられて」に傍点]、これらの交換比率の比が最初の二商品間の交換比率に等しくなければならぬという条件の下における欲望の最大満足である[#「これらの交換比率の比が最初の二商品間の交換比率に等しくなければならぬという条件の下における欲望の最大満足である」に傍点]。
一三二 もし価格を価値尺度財で表わして叫ぶとすると、一般均衡の条件はこの事実によって充される。換言すればこの一般均衡の条件が裁定の方法によって充されるわけである。今これらの行動の正確な結果を説明するのが便利であろう。
交換者(1)を(A)の所有者とし、交換者(2)を(B)の所有者とし、交換者(3)を(C)の所有者とし、ra,1[#「a,1」は下付き小文字], rb,1[#「b,1」は下付き小文字], rc,1[#「c,1」は下付き小文字], rd,1[#「d,1」は下付き小文字] …… ra,2[#「a,2」は下付き小文字], rb,2[#「b,2」は下付き小文字], rc,2[#「c,2」は下付き小文字], rd,2[#「d,2」は下付き小文字], …… ra,3[#「a,3」は下付き小文字], rb,3[#「b,3」は下付き小文字], rc,3[#「c,3」は下付き小文字], rd,3[#「d,3」は下付き小文字], ……をこれら三交換者に対する商品(A)、(B)、(C)、(D)、……の稀少性とし、かつしばらくこれらの稀少性は価格の変化に応じて変化する稀少性であるとする。裁定が起り得ないとの仮定の下においては、最大満足の条件は次の如く表わされる。
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_110.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
次に裁定が可能であると仮定し、ただ三つの商品(A)、(B)、(C)と三人の交換者(1)、(2)、(3)のみを考えてみる。価格は互に逆数であるから、裁定前には次のような関係がある。
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_111.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
裁定後、一般均衡状態においては次のような関係が現われる。
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_112.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
だから、三商品(A)、(B)、(C)及び三交換者(1)、(2)、(3)についての推論が、すべての商品とすべての交換者にも拡張し得ることを知れば、次のことがわかる。市場が一般均衡状態にあるときは[#「市場が一般均衡状態にあるときは」に傍点]、任意の二商品の稀少性の比は[#「任意の二商品の稀少性の比は」に傍点]、一方の商品で表わした他方の価格に等しいが[#「一方の商品で表わした他方の価格に等しいが」に傍点]、この比はこれら二商品のすべての所有者においても同一である[#「この比はこれら二商品のすべての所有者においても同一である」に傍点]。
一三三 va[#「a」は下付き小文字], vb[#「b」は下付き小文字], vc[#「c」は下付き小文字], vd[#「d」は下付き小文字] ……を商品(A)、(B)、(C)、(D)……の交換価値とし、ra,1[#「a,1」は下付き小文字], rb,1[#「b,1」は下付き小文字], rc
前へ
次へ
全58ページ中34ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
手塚 寿郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング