商品の供給がこの商品の所有量に等しいためには」に傍点]、需要せられる諸商品の欲望曲線の包む面積の部分で[#「需要せられる諸商品の欲望曲線の包む面積の部分で」に傍点]、既に所有せられる量によって充された欲望を表わす部分より上方にある部分のうちに[#「既に所有せられる量によって充された欲望を表わす部分より上方にある部分のうちに」に傍点]、矩形を画き[#「矩形を画き」に傍点]、これら矩形の面積の合計が[#「これら矩形の面積の合計が」に傍点]、供給せられる商品の所有量を高さとし[#「供給せられる商品の所有量を高さとし」に傍点]、この商品の最大の欲望の強度を底辺として作られた矩形の面積に等しくなければならぬ[#「この商品の最大の欲望の強度を底辺として作られた矩形の面積に等しくなければならぬ」に傍点]。
 この条件は、充されることもあれば、充されないこともある。もしそうであるとすれば、交換者(1)による(B)の供給は、ある場合には、自分が所有する量 qb,1[#「b,1」は下付き小文字] に等しいことが可能である。だが、この供給は決してこの量より大ではあり得ない。故に、(B)の需要または供給の方程式において、pb[#「b」は下付き小文字], pc[#「c」は下付き小文字], pd[#「d」は下付き小文字] ……が、負の y1[#「1」は下付き小文字] を qb,1[#「b,1」は下付き小文字] より大ならしめるようないかなる値をとるときも、この方程式は、方程式
[#ここから4字下げ]
y1[#「1」は下付き小文字]=−qb,1[#「b,1」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
によって置き換えられねばならぬことを注意すべきである。
 一二〇 だがこれのみではない。まず、pb[#「b」は下付き小文字], pc[#「c」は下付き小文字], pd[#「d」は下付き小文字] ……が負の z1[#「1」は下付き小文字], w1[#「1」は下付き小文字] ……を qc,1[#「c,1」は下付き小文字], qd,1[#「d,1」は下付き小文字] ……より大ならしめる値をとる場合の、(C)、(D)……の需要または供給の方程式にも、同じことがいわれ得る。次に、これらの方程式が、方程式
[#ここから4字下げ]
z1[#「1」は下付き小文字]=−qc,1[#「c,1」は下付き小文字], w1[#「1」は下付き小文字]=−qd,1[#「d,1」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
によって置き換えられねばならぬ場合にもまさしく、(B)の需要または供給の方程式は、右の結果として修正せられねばならぬ。
 よって、例えば z1[#「1」は下付き小文字]=−qc,1[#「c,1」は下付き小文字] である場合には、交換者(1)による(B)の需要または供給の方程式の体系は次の如くである。
[#ここから4字下げ]
x1[#「1」は下付き小文字]+y1[#「1」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字]+w1[#「1」は下付き小文字]pd[#「d」は下付き小文字]+ …… =qc,1[#「c,1」は下付き小文字]pc[#「c」は下付き小文字]
φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb,1[#「b,1」は下付き小文字]+y1[#「1」は下付き小文字])=pb[#「b」は下付き小文字]φa,1[#「a,1」は下付き小文字](qa,1[#「a,1」は下付き小文字]+x1[#「1」は下付き小文字])
φd,1[#「d,1」は下付き小文字](qd,1[#「d,1」は下付き小文字]+w1[#「1」は下付き小文字])=pd[#「d」は下付き小文字]φa,1[#「a,1」は下付き小文字](qa,1[#「a,1」は下付き小文字]+x1[#「1」は下付き小文字])
……………………………………
[#ここで字下げ終わり]
すなわち全部で、m−1 個の方程式がある。これらの方程式の中で、x1[#「1」は下付き小文字], w1[#「1」は下付き小文字] ……等の m−2 個の未知数を順次に消去し、y1[#「1」は下付き小文字] を pb[#「b」は下付き小文字], pc[#「c」は下付き小文字], pd[#「d」は下付き小文字] ……の函数として示す方程式しか残らないようにすることが出来る。w1[#「1」は下付き小文字]=−qd,1[#「d,1」は下付き小文字] の場合も、同様である。最後にまた、商品(C)、(D)……等の中の一商品のみでなく、二個、三個、四個……等、一般に任意の多数の諸商品の供給が所有量に等しい場合にも同様であることは、この上の解説を俟《ま》たないで理解し得られよう。
 一二一 私は、価値尺度財である商品(A)の需要及び供給の方程式については、何もいわなかった。これは特殊な形をとる。だがまず明らかなことは、この方程式もまた、pb[#「b」は下付き小文字], pc[#「c」は下付き小文字], pd[#「d」は下付き小文字] ……の値が負の x1[#「1」は下付き小文字] を qa,1[#「a,1」は下付き小文字] より大ならしめるものであるときは、方程式 x1[#「1」は下付き小文字]=−qa,1[#「a,1」は下付き小文字] によって置き換えられねばならず、かつこの場合には、交換者(1)による(B)の需要または供給を示す方程式の体系は次のようなものとなることである。
[#ここから4字下げ]
y1[#「1」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字]+z1[#「1」は下付き小文字]pc[#「c」は下付き小文字]+w1[#「1」は下付き小文字]pd[#「d」は下付き小文字] …… =qa,1[#「a,1」は下付き小文字]
pb[#「b」は下付き小文字]φc,1[#「c,1」は下付き小文字](qc,1[#「c,1」は下付き小文字]+z1[#「1」は下付き小文字])=pc[#「c」は下付き小文字]φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb,1[#「b,1」は下付き小文字]+y1[#「1」は下付き小文字])
pb[#「b」は下付き小文字]φd,1[#「d,1」は下付き小文字](qd,1[#「d,1」は下付き小文字]+w1[#「1」は下付き小文字])=pd[#「d」は下付き小文字]φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb,1[#「b,1」は下付き小文字]+y1[#「1」は下付き小文字])
………………………………………
[#ここで字下げ終わり]
すなわち m−1 個の方程式があることに変りはない。これらの中で、z1[#「1」は下付き小文字], w1[#「1」は下付き小文字] ……等の m−2 個の未知数を順次に消去し、pb[#「b」は下付き小文字], pc[#「c」は下付き小文字], pd[#「d」は下付き小文字] ……の函数としての y1[#「1」は下付き小文字] を与える方程式しか残らないようにすることが出来る。
 一二二 需要または供給方程式がこれらの制限を満足するように、これらの方程式を組み立てることが多少困難であることはもちろんである。けれども(A)で表わした(B)、(C)、(D)……のある価格 p'b[#「b」は下付き小文字], p'c[#「c」は下付き小文字], p'd[#「d」は下付き小文字] ……が叫ばれたとき、すべての商品の需要量と供給量とは、供給量と所有量とが等しいとの事実の下に、完全に一定していることも明らかである。このことははなはだ重要である。私はこの点を明らかにしようと思う。
 q=ψa,1[#「a,1」は下付き小文字](r), q=ψb,1[#「b,1」は下付き小文字](r), q=ψc,1[#「c,1」は下付き小文字](r), q=ψd,1[#「d,1」は下付き小文字](r) ……を交換者(1)に対する(A)、(B)、(C)、(D)……の利用方程式であって、量に関して解かれ、稀少性に関して解かれていないものであるとする。しからば、交換の後には、次の式が得られる。
[#ここから4字下げ]
qa,1[#「a,1」は下付き小文字]+x'1[#「1」は下付き小文字]=ψa,1[#「a,1」は下付き小文字](r'a,1[#「a,1」は下付き小文字])
qb,1[#「b,1」は下付き小文字]+y'1[#「1」は下付き小文字]=ψb,1[#「b,1」は下付き小文字](r'b,1[#「b,1」は下付き小文字])
qc,1[#「c,1」は下付き小文字]+z'1[#「1」は下付き小文字]=ψc,1[#「c,1」は下付き小文字](r'c,1[#「c,1」は下付き小文字])
qd,1[#「d,1」は下付き小文字]+w'1[#「1」は下付き小文字]=ψd,1[#「d,1」は下付き小文字](r'd,1[#「d,1」は下付き小文字])
………………………
[#ここで字下げ終わり]
その他交換せられる量の等価値の条件及び最大満足の条件(第一一八節)の結果として、方程式
[#ここから4字下げ]
qa,1[#「a,1」は下付き小文字]+p'b[#「b」は下付き小文字]qb,1[#「b,1」は下付き小文字]+p'c[#「c」は下付き小文字]qc,1[#「c,1」は下付き小文字]+p'd[#「d」は下付き小文字]qd,1[#「d,1」は下付き小文字]+ …… 
=ψa,1[#「a,1」は下付き小文字](r'a,1[#「a,1」は下付き小文字])+p'b[#「b」は下付き小文字]ψb,1[#「b,1」は下付き小文字](p'b[#「b」は下付き小文字]ψb,1[#「b,1」は下付き小文字](p'b[#「b」は下付き小文字]r'a,1[#「a,1」は下付き小文字])+p'c[#「c」は下付き小文字]ψc,1[#「c,1」は下付き小文字](p'c[#「c」は下付き小文字]r'a,1[#「a,1」は下付き小文字])+p'd[#「d」は下付き小文字]ψd,1[#「d,1」は下付き小文字](p'd[#「d」は下付き小文字]r'a,1[#「a,1」は下付き小文字])+ ……
[#ここで字下げ終わり]
が得られる。この最後の方程式は r'a,1[#「a,1」は下付き小文字] を与える。r'a,1[#「a,1」は下付き小文字]を用いて、r'b,1[#「b,1」は下付き小文字], r'c,1[#「c,1」は下付き小文字], r'd,1[#「d,1」は下付き小文字] ……が得られ、従って x'1[#「1」は下付き小文字], y'1[#「1」は下付き小文字], z'1[#「1」は下付き小文字], w'1[#「1」は下付き小文字] ……が得られる。保留せられまたは獲得せられる商品は、充されるべき最初の欲望の強度が、価格と r'a,1[#「a,1」は下付き小文字] との積より大なるものである。
 もし r'a,1[#「a,1」は下付き小文字] が(A)の最初の欲望の強度より大であれば、交換者(1)は価値尺度財である商品を需要もせねば、保留もしない。
 一二三 交換者(1)、(2)、(3)……による(A)、(B)、(C)、(D)……の需要または供給の方程式は仮定によって右の制限を満足するために適当に組み立てられているから、x1[#「1」は下付き小文字]+x2[#「2」は下付き小文字]+x3[#「3」は下付き小文字]+ ……の合計、y1[#「1」は下付き小文字]+y2[#「2」は下付き小文字]+y3[#「3」は下付き小文字]+ ……の合計、z1[#「1」は下付き小文字]+z2[#「2」は下付き小文字]+z3[#「3」は下付き小文字] ……の合計、w1[#「1」は下付き小文字]+w2[#「2」は下付き小文字]+w3[#「3」は下付き小文字]+ ……の合計を、それぞれ X, Y, Z, W ……で表わし、函数 fb,1[#「b,1」は下付き小文字], fb,2[#「b,2」は下付き小文字], fb,3[#「b,3」は下付き小文字] ……の合計、函数 fc,1[#「c,1」は下付き小文字], fc,2[#「c,2」は下付き小文字], 
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