は下付き小文字](qa,1[#「a,1」は下付き小文字]−oa[#「a」は下付き小文字])=pa[#「a」は下付き小文字]φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb,1[#「b,1」は下付き小文字]+oa[#「a」は下付き小文字]pa[#「a」は下付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
となる。これは方程式[5]に外ならないのであって、ただ da[#「a」は下付き小文字] が −oa[#「a」は下付き小文字] に置き換えられただけである。よって(A)の需要方程式[5]は、da[#「a」は下付き小文字] が負の値をとるときの(A)の供給方程式である。同様にして、(B)の需要方程式[4]は、db[#「b」は下付き小文字] が負であるときの(B)の供給方程式であることを証明し得る。ところで価格は本質上正であるから、db[#「b」は下付き小文字] が正であれば、oa[#「a」は下付き小文字]=db[#「b」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字] は正であり、従って da[#「a」は下付き小文字]=−oa[#「a」は下付き小文字] は負である。db[#「b」は下付き小文字] が負であるときは、oa[#「a」は下付き小文字]=db[#「b」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字] は負であり、従って da[#「a」は下付き小文字]=−oa[#「a」は下付き小文字] は正である。同様にして、da[#「a」は下付き小文字] が正であるときは、db[#「b」は下付き小文字] は負であり、da[#「a」は下付き小文字] が負であるときは、db[#「b」は下付き小文字] は正であることも証明出来よう。
 よって、二商品の一方の商品の需要がある価格において正であれば[#「二商品の一方の商品の需要がある価格において正であれば」に傍点]、同じ価格に相応する他方の商品の価格におけるこの他方の商品の需要は負である[#「同じ価格に相応する他方の商品の価格におけるこの他方の商品の需要は負である」に傍点]、すなわちその供給は正である[#「すなわちその供給は正である」に傍点]。
 そして二商品の所有者は、一方の商品を供給することによってしか、他方の商品を需要することが出来ないのであり、またその逆も正しい。だからもし、一方の商品を需要もせず供給もせぬとすれば、他方の商品を供給もせねば需要もしないこととなる。容易に認め得るように、これは、二商品の稀少性の比が、他方の商品で表わした一商品の価格にまさしく等しくて、交換をしないで有効利用の最大が生ずる場合である。
 九五 故に曲線は、ad,1[#「d,1」は下付き小文字] から ap,1[#「p,1」は下付き小文字] までは、また bd,1[#「d,1」は下付き小文字] から bp,1[#「p,1」は下付き小文字] までは、需要曲線である。けだし点 ap,1[#「p,1」は下付き小文字] と bp,1[#「p,1」は下付き小文字] とは互に逆であるからである。また曲線は、ap,1[#「ap,1」は下付き小文字] から ao,1[#「o,1」は下付き小文字] まで、bp,1[#「p,1」は下付き小文字] から bo,1[#「o,1」は下付き小文字] まで、すなわち図に軸 qa,1[#「a,1」は下付き小文字]p, qb,1[#「b,1」は下付き小文字]p 以下に点線で示した部分において、供給曲線である。それらを合して、軸 Or 上にとれば、曲線の各々は、二商品の各々の保留せられ獲得せられる合計量を価格の函数として示す曲線である。それには最小量が存在するが、これは他方の商品と交換に提供せられる供給量最大の場合に相当する。
 九六 要するに、交換者(1)が、自ら所有する(A)及び(B)の量 qa,1[#「a,1」は下付き小文字], qb,1[#「b,1」は下付き小文字] に対し、価格の如何《いかん》によって附加するであろう所のこれら商品のそれぞれの量を、正負を問わず、簡単に x, y で表わせば、この人のせり上げの傾向は、交換方程式と最大満足の方程式の二つ
[#ここから4字下げ]
x1[#「1」は下付き小文字]va[#「a」は下付き小文字]+y1[#「1」は下付き小文字]vb[#「b」は下付き小文字]=0
[#式(fig45210_059.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
から生ずる。これらのうちで、pa[#「a」は下付き小文字] の函数として x1[#「1」は下付き小文字] を表わすために y1[#「1」は下付き小文字] を消去することも出来、また pb[#「b」は下付き小文字] の函数として y1[#「1」は下付き小文字] を表わすために x1[#「1」は下付き小文字] を消去することも出来る。そしてこれらを消去して得られる方程式
[#ここから4字下げ]
φa,1[#「a,1」は下付き小文字](qa,1[#「a,1」は下付き小文字]+x1[#「1」は下付き小文字])=pa[#「a」は下付き小文字]φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb,1[#「b,1」は下付き小文字]−x1[#「1」は下付き小文字]pa[#「a」は下付き小文字])
φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb,1[#「b,1」は下付き小文字]+y1[#「1」は下付き小文字])=pb[#「b」は下付き小文字]φa,1[#「a,1」は下付き小文字](qa,1[#「a,1」は下付き小文字]−y1[#「1」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
は一般的方式であって、従って、後に多数の商品の間の交換における同じ人のせり上げの傾向を表わす場合にも、私はこれらの方式を適当に展開するに過ぎぬであろう。
 なお注意を要する重要なことであるが、右の方程式の第一は pa[#「a」は下付き小文字] の値が負の x1[#「1」は下付き小文字] を qa,1[#「a,1」は下付き小文字] より大ならしめるものであるときは、方程式
[#ここから4字下げ]
x1[#「1」は下付き小文字]=−qa,1[#「a,1」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
によって置き換えられねばならぬ。このときには、y1[#「1」は下付き小文字] は方程式
[#ここから4字下げ]
y1[#「1」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字]=qa,1[#「a,1」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
によって与えられる。同様に第二方程式は、負の y1[#「1」は下付き小文字] を qb,1[#「b,1」は下付き小文字] より大ならしめる所の pb[#「b」は下付き小文字] の値においては、方程式
[#ここから4字下げ]
y1[#「1」は下付き小文字]=−qb,1[#「b,1」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
によって置き換えられねばならない。この場合には、x1[#「1」は下付き小文字] は方程式
[#ここから4字下げ]
x1[#「1」は下付き小文字]pa[#「a」は下付き小文字]=qb,1[#「b,1」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
によって与えられる。
 九七 これらの方程式を、x1[#「1」は下付き小文字] 及び y1[#「1」は下付き小文字] について解き、先の条件を満足するように適当に処理すれば、次の形をとる。
[#ここから4字下げ]
x1[#「1」は下付き小文字]=fa,1[#「a,1」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字]), y1[#「1」は下付き小文字]=fb,1[#「b,1」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
同様に、交換者(2)、(3)のせり上げの傾向を表わすものとして、
[#ここから4字下げ]
x2[#「2」は下付き小文字]=fa,2[#「a,2」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字]), y2[#「2」は下付き小文字]=fb,2[#「b,2」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字])
x3[#「3」は下付き小文字]=fa,3[#「a,3」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字]), y3[#「3」は下付き小文字]=fb,3[#「b,3」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字])
…………… ……………
[#ここで字下げ終わり]
を得る。そして二商品(A)及び(B)の各々の有効需要と有効供給との均等は、次の二方程式の一方または他方によって表わされる。
[#ここから4字下げ]
X=fa,1[#「a,1」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字])+fa,2[#「a,2」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字])+fa,3[#「a,3」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字])+ …… =Fa[#「a」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字])=0
Y=fb,1[#「b,1」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字])+fb,2[#「b,2」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字])+fb,3[#「b,3」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字])+ …… =Fb[#「b」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字])=0
[#ここで字下げ終わり]
 ところで例えば pa[#「a」は下付き小文字] をこの方程式の第一から導き出し、pb[#「b」は下付き小文字] を方程式
[#ここから4字下げ]
pa[#「a」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字]=1
[#ここで字下げ終わり]
から導き出せば、この pb[#「b」は下付き小文字] の値は、必ず、第二方程式を満足する。けだし、明らかに
[#ここから4字下げ]
Xva[#「a」は下付き小文字]+Yvb[#「b」は下付き小文字]=0
[#ここで字下げ終わり]
であるから。そこで、もし pa[#「a」は下付き小文字] がある値をとったとき、Fa[#「a」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字])=0 となれば、この価格に対応する pb[#「b」は下付き小文字] の値において、Fb[#「b」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字])=0 となる。
 この解法は解析的解法である。私共は、これに幾何学的形式を与えることが出来る。正のxの合計は(A)の需要曲線を与え、正のyの合計は(B)の需要曲線を与える。これらの二つの需要曲線から、二商品の供給の二曲線が得られる。これらは、負のx及びyを正にとり、それぞれを合計したものに他ならない。市場価格は、これらの曲線の交点によって決定せられる。
 九八 以上が数学的解法である。市場における解法は次の如くになされる。
 ある二つの互に逆数の価格 pa[#「a」は下付き小文字], pb[#「b」は下付き小文字] が叫ばれると、計算こそしないがしかし最大満足の条件に一致するように x1[#「1」は下付き小文字], x2[#「2」は下付き小文字], x3[#「3」は下付き小文字] …… y1[#「1」は下付き小文字], y2[#「2」は下付き小文字], y3[#「3」は下付き小文字] ……が決定せられる。それによってまた、XとYも決定せられる。もし X=0 ならば、Y=0 となり、価格は均衡価格となる。しかし一般には[#式(fig45210_060.png)入る]であり、従って[#式(fig45210_061.png)入る]である。正のxの合計を Da[#「a」は下付き小文字] と呼び、負のxの合計を符号を変えて Oa[#「a」は下付き小文字] と呼べば、右の第一の不等式は[#式(fig45210_062.png)入る]となる。そして Da[#「a」は下付き小文字] と Oa[#「a」は下付き小文字] とを等しからしめることが問題である。
 Da[#「a」は下付き小文字] についていえば、この量は、pa[#「a」は下付き小文字]=0 であるとき、
前へ 次へ
全58ページ中25ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
手塚 寿郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング