ig45210_056.png)入る]は[#式(fig45210_057.png)入る]に一致する。そのときには、需要曲線 ad,1[#「d,1」は下付き小文字]ap,1[#「p,1」は下付き小文字] は、坐標軸の一部 ad,1[#「d,1」は下付き小文字]Oπ となる。
よって、二商品の利用がその一方の商品の所有者にとって変化せず[#「二商品の利用がその一方の商品の所有者にとって変化せず」に傍点]、かつこの所有量が減少したとすれば[#「かつこの所有量が減少したとすれば」に傍点]、他方の商品の需要曲線と価格の軸との交点は坐標の原点に近づく[#「他方の商品の需要曲線と価格の軸との交点は坐標の原点に近づく」に傍点]。この所有量がゼロとなるときは[#「この所有量がゼロとなるときは」に傍点]、需要曲線は[#「需要曲線は」に傍点]、需要の軸にとられた需要せらるる商品の外延利用と[#「需要の軸にとられた需要せらるる商品の外延利用と」に傍点]、価格の軸にとられた二商品の欲望の最大の強度の比に等しい長さとによって作られる坐標軸の部分に一致する[#「価格の軸にとられた二商品の欲望の最大の強度の比に等しい長さとによって作られる坐標軸の部分に一致する」に傍点]。
九一 反対にもし、qb[#「b」は下付き小文字] が増加すると、ρb[#「b」は下付き小文字] は減少し、従って[#式(fig45210_055.png)入る]は増加する。qb[#「b」は下付き小文字]=βq,1[#「q,1」は下付き小文字] であるときは、ρb[#「b」は下付き小文字]=0 となり、比[#式(fig45210_056.png)入る]は無限大となる。そのときには、点 ap,1[#「p,1」は下付き小文字][#「p,1」は底本では「d,1」]はO点より無限に隔ってくる。
よって、二商品の利用がその一方の商品の所有者にとって変化せず[#「二商品の利用がその一方の商品の所有者にとって変化せず」に傍点]、かつこの所有量が増加すれば[#「かつこの所有量が増加すれば」に傍点]、他方の商品の需要曲線と価格の軸との交点は[#「他方の商品の需要曲線と価格の軸との交点は」に傍点]、坐標の原点から遠ざかる[#「坐標の原点から遠ざかる」に傍点]。この所有量が外延利用に等しくなれば[#「この所有量が外延利用に等しくなれば」に傍点]、需要曲線は価格の軸に漸近線をなす[#「需要曲線は価格の軸に漸近線をなす」に傍点]。
そうならなければならぬことは、完全に説明せられ得る。また全部需要の曲線の形状について早計に何らの断定を下さなかった(第五五節)のが、充分の理由があったことも解るであろう。今は、右の曲線は常に需要の軸を切ると断定することが出来る。いかなる商品も、無限な全部外延利用をもつものでないからである。けれども右の曲線が価格の軸に漸近線をなすことは、普通でかつ頻繁な事実と考えねばならぬ。なぜなら、このことは、一商品の所有者の中に自由勝手に全欲望を充すに充分な量のこの商品をもつ人が、一人でもあれば、生ずるからである。ここで全供給の曲線は原点から出発することが、しばしばあり得る(一)[#「(一)」は行右小書き]。
九二 ここまで、私は、すべての交換者が一商品のみのすなわち(A)または(B)のみの所有者であることを仮定してきた。しかし同一の人が二商品(A)及び(B)の所有者である特別の場合を考え、この人のせり上げの傾向を数学的に表わさねばならぬ。すべてを取扱うという意味において、この場合を取扱わねばならぬのはもちろん、この場合こそが一般的場合であって、第一の場合は、二商品の所有量の一方がゼロであると想像せられた場合に過ぎない。推論が複雑となるのを恐れて、私は、最初には右の場合を、二商品の交換の問題の中に入れなかった。だが今は、最大満足の定理によって、この場合を簡単に容易に取扱うことが出来る。
[#図(fig45210_058.png)入る]
故に、(B)の所有者(1)が、欲望曲線 αr,1[#「r,1」は下付き小文字]αq,1[#「q,1」は下付き小文字] 及び βr,1[#「r,1」は下付き小文字]βq,1[#「q,1」は下付き小文字] の二つの方程式 r=φa,1[#「a,1」は下付き小文字](q),r=φb,1[#「b,1」は下付き小文字](q) によって表わされる(A)及び(B)に対する欲望を持って、市場に現われるとき、(A)のゼロ量と、Oqb[#「b」は下付き小文字](第三図)によって表わされる(B)の qb[#「b」は下付き小文字][#「b」は底本では上付き小文字] 量を持ってくる代りに、Oqa,1[#「a,1」は下付き小文字](第四図)によって表わされる(A)の qa,1[#「a,1」は下付き小文字] 量と、Oqb,1[#「b,1」は下付き小文字] によって表わされる(B)の qb,1[#「b,1」は下付き小文字] を持ってくると仮定し、価格 pb[#「b」は下付き小文字] の函数としての(B)の需要と、価格 pa[#「a」は下付き小文字] の函数としての(A)の需要とを表わしてみよう。
もし、(A)で表わした(B)の価格 pb[#「b」は下付き小文字] を長さ qb,1[#「b,1」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字] で表わし、この価格においてこの人が、長さ qb,1[#「b,1」は下付き小文字]db[#「b」は下付き小文字] によって表わされる(B)の db[#「b」は下付き小文字] 量を需要するとすれば、長さ qa,1[#「a,1」は下付き小文字]oa[#「a」は下付き小文字] によって表わされる(A)の oa[#「a」は下付き小文字] 量で同時に pb[#「b」は下付き小文字], db[#「b」は下付き小文字], oa[#「a」は下付き小文字] の間に方程式
[#ここから4字下げ]
oa[#「a」は下付き小文字]=db[#「b」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
を成立せしめるであろう所の量を供給せねばならない。
そしてこのときには、(B)の充された最後の欲望の強度は長さ db[#「b」は下付き小文字]β によって表わされる rb[#「b」は下付き小文字] であり、(A)の充された最後の欲望の強度は長さ oa[#「a」は下付き小文字]α によって表わされる ra[#「a」は下付き小文字] であるから、最大満足の定理により(第八〇節)、
[#ここから4字下げ]
rb[#「b」は下付き小文字]=pb[#「b」は下付き小文字]ra[#「a」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
である。rb[#「b」は下付き小文字] と ra[#「a」は下付き小文字] とにその値を代入すれば
[#ここから2字下げ]
[4] φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb,1[#「b,1」は下付き小文字]+db[#「b」は下付き小文字])=pb[#「b」は下付き小文字]φa,1[#「a,1」は下付き小文字](qa,1[#「a,1」は下付き小文字]−oa[#「a」は下付き小文字])=pb[#「b」は下付き小文字]φa,1[#「a,1」は下付き小文字](qa,1[#「a,1」は下付き小文字]−db[#「b」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
となる。これは、(A)で表わした(B)の価格の函数としての(B)の需要を、軸 qb,1[#「b,1」は下付き小文字]q, qb,1[#「b,1」は下付き小文字]p の上に表わした需要曲線 bd,1[#「d,1」は下付き小文字]bp,1[#「p,1」は下付き小文字] の方程式である。
同様にもし、(B)で表わした(A)の価格 pa[#「a」は下付き小文字] において、この個人が(A)の da[#「a」は下付き小文字] 量を需要すれば、pa[#「a」は下付き小文字], da[#「a」は下付き小文字], ob[#「b」は下付き小文字] の間に方程式
[#ここから4字下げ]
ob[#「b」は下付き小文字]=da[#「a」は下付き小文字]pa[#「a」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
を成立せしめるような(B)の量 ob[#「b」は下付き小文字] を供給せねばならぬ。そしてそのときには、(A)の充された最後の欲望の強度は ra[#「a」は下付き小文字] であり、(B)の充された最後の欲望の強度は rb[#「b」は下付き小文字] であるから
[#ここから4字下げ]
ra[#「a」は下付き小文字]=pa[#「a」は下付き小文字]rb[#「b」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
であり、
[#ここから2字下げ]
[5] φa,1[#「a,1」は下付き小文字](qa,1[#「a,1」は下付き小文字]+da[#「a」は下付き小文字])=pa[#「a」は下付き小文字]φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb,1[#「b,1」は下付き小文字][#「b,1」は底本では「b1」]−ob[#「b」は下付き小文字])=pa[#「a」は下付き小文字]φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb,1[#「b,1」は下付き小文字]−da[#「a」は下付き小文字]pa[#「a」は下付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
である。これは、(B)で表わした(A)の価格の函数としての(A)の需要を、軸 qa,1[#「a,1」は下付き小文字]q, qa,1[#「a,1」は下付き小文字]p の上に表わした需要曲線の方程式である。
九三 価格がゼロであるときの需要の場合、需要がゼロであるときの価格の場合、所有量に等しい供給がなされる場合、所有量が減少した場合、これが増加した場合等について、[4]、[5]の二つの方程式を吟味すれば、先になした論述と全く相似たものとなるであろう。だから私はそれをしない。ただ確定しておかねばならぬ重要な特別な点についてのみ論じておく。
もし、方程式[4]において、db[#「b」は下付き小文字]=0 であれば、その方程式は
[#ここから4字下げ]
φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb,1[#「b,1」は下付き小文字])=pb[#「b」は下付き小文字]φa,1[#「a,1」は下付き小文字](qa,1[#「a,1」は下付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
となる。そして常に pa[#「a」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字]=1 であるから、この方程式は
[#ここから4字下げ]
φa,1[#「a,1」は下付き小文字](qa,1[#「a,1」は下付き小文字])=pa[#「a」は下付き小文字]φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb,1[#「b,1」は下付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
の形とせられ得る。方程式[5]において、da[#「a」は下付き小文字]=0 であるとして、得られるのもまたこれである。
よって、二商品のうちの一商品の需要が[#「二商品のうちの一商品の需要が」に傍点]、ある価格においてゼロであるとすれば[#「ある価格においてゼロであるとすれば」に傍点]、他の一方の商品の需要は[#「他の一方の商品の需要は」に傍点]、同じ価格に相応するその価格においてまたゼロである[#「同じ価格に相応するその価格においてまたゼロである」に傍点]。
九四 しかしこの命題はより一般的な定理の系に過ぎない。
(A)で表わした(B)の価格の函数としての(B)の需要の方程式[4]を、(B)で表わした(A)の価格の函数としての(A)の供給の方程式に変化するためには、db[#「b」は下付き小文字] を oa[#「a」は下付き小文字]pa[#「a」は下付き小文字] によって、pb[#「b」は下付き小文字] を[#式(fig45210_019.png)入る]によって置き換えればよい。よってそれは
[#ここから4字下げ]
φa,1[#「a,1」
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