の[#式(fig45210_040.png)入る]との第一交換は(B)の所有者にとり有利である。同様に、順次に行われていく第二部分以下の交換は、稀少性の比を減少するけれども、なおこの比は仮定によって価格より大であるから、有利であることを証明し得る。この利益が、稀少性の比の減少に伴い、減少していくことは明らかである。
 更に、da[#「a」は下付き小文字]d''a[#「a」は下付き小文字] を、da[#「a」は下付き小文字] 点から下方に向って da[#「a」は下付き小文字]O から切りとった長さとし、yy'' をy点から上方に向い yqb[#「b」は下付き小文字] から切りとった長さとし、これらの長さは、それぞれ最後の部分的交換において交換せられた(A)の量[#式(fig45210_040.png)入る]及び(B)の[#式(fig45210_039.png)入る]を表わすものとする。この最後の交換が行われると、稀少性の比は減少し、ついに、仮定により、価格に相等しくなる。よって、
[#ここから4字下げ]
ra,1[#「a,1」は下付き小文字]=pa[#「a」は下付き小文字]rb,1[#「b,1」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
であり、交換方程式により
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_042.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
である。[#式(fig45210_040.png)入る], [#式(fig45210_039.png)入る], ra,1[#「a,1」は下付き小文字], rb,1[#「b,1」は下付き小文字] を、それぞれ長さ da[#「a」は下付き小文字]d''a[#「a」は下付き小文字], yy'', da[#「a」は下付き小文字]α, yβ で置き換えれば、
[#ここから4字下げ]
da[#「a」は下付き小文字]d''a[#「a」は下付き小文字]×da[#「a」は下付き小文字]α=yy''×yβ
[#ここで字下げ終わり]
しかるに欲望曲線の性質により、一方において
[#ここから4字下げ]
面積 d''a[#「a」は下付き小文字]da[#「a」は下付き小文字]αα''>da[#「a」は下付き小文字]d''a[#「a」は下付き小文字]×da[#「a」は下付き小文字]α
[#ここで字下げ終わり]
であり、他方
[#ここから4字下げ]
yy''×yβ> 面積 yy''β''β
[#ここで字下げ終わり]
このようにして、(B)の[#式(fig45210_039.png)入る]と(A)の[#式(fig45210_040.png)入る]との最後の交換もなお有利である。ところでsはいかほどにも大きく仮定し得るのであるから、すべての部分的交換は、例外なく、従って想像し得られる限り小さい最後の部分的交換も、有利である。ただ最初の部分的交換はより有利であり、s番目の部分的交換まで、有利の程度が次第に減少する。だから(B)の所有者(1)は ob[#「b」は下付き小文字] より小なる(B)の量を供給せぬであろうし、また da[#「a」は下付き小文字] より小なる(A)の量を需要もせぬであろう。
 七九 同様にして、ob[#「b」は下付き小文字] より大なる(B)の量を供給しないであろうことも、また da[#「a」は下付き小文字] より大なる(A)の量を需要しないであろうことも、証明することが出来よう。なぜならこの限度を超える部分的交換は、いかに小なる部分的交換であっても、たとい想像し得る限り小さい最初の部分的交換であっても、いずれも不利益であり、また各部分的交換はますます不利益となるからである。そしてこの証明は先の証明と全く同様である。まことに交換の限度すなわち(A)の稀少性と(B)の稀少性との比が価格 pa[#「a」は下付き小文字] に相等しくなった点を越えて更に、(A)のある量と(B)のある量とを交換し、(A)の稀少性を減少し続け、(B)の稀少性を増加し続ければ、ra[#「a」は下付き小文字]<pa[#「a」は下付き小文字]rb[#「b」は下付き小文字] となる。すなわち rb[#「b」は下付き小文字]>pb[#「b」は下付き小文字]ra[#「a」は下付き小文字] となる。だから先に行った証明によって、極限
[#ここから4字下げ]
rb,1[#「b,1」は下付き小文字]=pb[#「b」は下付き小文字]ra,1[#「a,1」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
 すなわち ra,1[#「a,1」は下付き小文字]=pa[#「a」は下付き小文字]rb,1[#「b,1」は下付き小文字]
に達するまで、(A)のある量と(B)のある量とを交換すれば、満足の最大に近づくことは、確かである。
 八〇 故に(B)によって表わした(A)の価格 pa[#「a」は下付き小文字] において、(B)の所有者(1)が供給するであろう(B)の量と、需要するであろう(A)の量とが、
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ra,1[#「a,1」は下付き小文字]=pa[#「a」は下付き小文字]rb,1[#「b,1」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
の関係をもっているとすれば、これらそれぞれの量 ob[#「b」は下付き小文字] と da[#「a」は下付き小文字] とは、この価格において供給せられるべき量に等しく、これらより少くもなければ、多くもない。
 一般に、市場において二商品が与えられているとすると[#「市場において二商品が与えられているとすると」に傍点]、欲望満足の最大すなわち有効利用の最大は[#「欲望満足の最大すなわち有効利用の最大は」に傍点]、各所有者にとり[#「各所有者にとり」に傍点]、充足せられた最後の各満足の強度の比すなわち稀少性の比が[#「充足せられた最後の各満足の強度の比すなわち稀少性の比が」に傍点]、価格に等しくなったときに現われる[#「価格に等しくなったときに現われる」に傍点]。この均等が達せられない限り[#「この均等が達せられない限り」に傍点]、交換者は[#「交換者は」に傍点]、稀少性が自らの価格と他方の商品の稀少性との積より小さい商品を売り[#「稀少性が自らの価格と他方の商品の稀少性との積より小さい商品を売り」に傍点]、稀少性が[#「稀少性が」に傍点]、自らの価格と右の商品の稀少性との積より大なる商品を買うのが[#「自らの価格と右の商品の稀少性との積より大なる商品を買うのが」に傍点]、有利である[#「有利である」に傍点]。
 だから、交換者は、二商品のうち、自分が所有する一商品の全量を供給するのが、利益であることもあり得べく、また相手の商品を全く需要せぬのが利益であることもあり得るであろう。この点については、後に説明しよう。
 八一 方程式
[#ここから4字下げ]
ra,1[#「a,1」は下付き小文字]=pa[#「a」は下付き小文字]rb,1[#「b,1」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
の中の ra,1[#「a,1」は下付き小文字] 及び rb,1[#「b,1」は下付き小文字] に、それらの値を置き換えれば、この方程式は
[#ここから4字下げ]
φa,1[#「a,1」は下付き小文字](da[#「a」は下付き小文字])=pa[#「a」は下付き小文字]φb,1[#「b,1」は下付き小文字](y)=pa[#「a」は下付き小文字]φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb[#「b」は下付き小文字]−ob[#「b」は下付き小文字])
    =pa[#「a」は下付き小文字]φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb[#「b」は下付き小文字]−da[#「a」は下付き小文字]pa[#「a」は下付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
となる。この方程式は、pa[#「a」は下付き小文字] の函数としての da[#「a」は下付き小文字] を与える。何となれば、この方程式がこれら二つの変数の第二〔訳者註、da[#「a」は下付き小文字]〕に関して解かれているとすれば、この方程式は
[#ここから4字下げ]
da[#「a」は下付き小文字]=fa,1[#「a,1」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
という形をとるからである。これは、所有者(1)が(B)で(A)を需要する場合の需要曲線 ad,1[#「d,1」は下付き小文字]ap,1[#「p,1」は下付き小文字] の方程式を、まさしく表わしている。故に、方程式
[#ここから4字下げ]
r=φa,1[#「a,1」は下付き小文字](q) 及び r=φb,1[#「b,1」は下付き小文字](q)
[#ここで字下げ終わり]
が数学的に確定し得られれば、前の方程式もまた数学的に確定する。ただ右に記した方程式が数学的には確定していないために、方程式
[#ここから4字下げ]
da[#「a」は下付き小文字]=fa,1[#「a,1」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
は経験的に過ぎないものとなっている。
 かくて、問題――二商品[#「二商品」に傍点](A[#「A」に傍点])、(B[#「B」に傍点])と各交換者に対するこれら二商品の利用曲線すなわち欲望曲線[#「と各交換者に対するこれら二商品の利用曲線すなわち欲望曲線」に傍点]、またはこれら曲線の方程式[#「またはこれら曲線の方程式」に傍点]、及びこれら商品の交換者の各々によって所有せられる量を与えて[#「及びこれら商品の交換者の各々によって所有せられる量を与えて」に傍点]、需要曲線を決定する問題[#「需要曲線を決定する問題」に傍点]――は解けるのである[#「は解けるのである」に傍点]。
 八二 以上の解法の方式を、既に用いた微分法の記号によって表わすことは、無意義ではあるまい。
 (B)で表わした(A)の価格が pa[#「a」は下付き小文字] であるとき、需要せられるべき(A)の量を da[#「a」は下付き小文字] とし、供給せられるべき(B)の量を ob[#「b」は下付き小文字]=da[#「a」は下付き小文字]pa[#「a」は下付き小文字] であるとし、従って保留せられるべき(B)の量は qb[#「b」は下付き小文字]−ob[#「b」は下付き小文字] であるとする。そして qb[#「b」は下付き小文字] は、所有者(1)が所有する(B)の量であるから、
[#ここから2字下げ]
[1] da[#「a」は下付き小文字]pa[#「a」は下付き小文字]+(qb[#「b」は下付き小文字]−ob[#「b」は下付き小文字])=qb[#「b」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
 また u=Φa,1[#「a,1」は下付き小文字](q), u=Φb,1[#「b,1」は下付き小文字](q) をそれぞれ(A)及び(B)が消費量の函数としてこの人に対してもつ有効利用を表わす式であるとし、従って
[#ここから4字下げ]
Φa,1[#「a,1」は下付き小文字](da[#「a」は下付き小文字])+Φb,1[#「b,1」は下付き小文字](qb[#「b」は下付き小文字]−ob[#「b」は下付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
は、最大ならしめるべき有効利用の合計であるとする。函数Φの微分係数は本質的に逓減するから、我が交換者の求める最大利用は、二商品の各消費量によって生ずる利用の微分増加量の代数和が零であるときに得られる。なぜならこれらの微分増加量が互に相等しくなく、かつ互に正負相反しているとすれば、微分増加量のより強い商品をより多く需要して、微分増加量のより弱い商品をより少く需要し、または微分増加量のより弱い商品をより多く供給し、微分増加量のより強いものをより少く供給するのが利益であるからである。故に欲望の最大満足を与える条件は、次の方程式によって表わされる。
[#ここから4字下げ]
Φ'a,1[#「a,1」は下付き小文字](da[#「a」は下付き小文字])dda[#「a」は下付き小文字]+
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