[#ここで字下げ終わり]
によって表わされる ρb[#「b」は下付き小文字] である。同様に曲線 ar,1[#「r,1」は下付き小文字]aq,1[#「q,1」は下付き小文字] は(A)の消費量の函数としての有効利用の曲線または稀少性曲線。それ故に横軸及び縦軸を、それぞれ稀少性の軸[#「稀少性の軸」に傍点](〔axe des rarete's〕)、量の軸[#「量の軸」に傍点](〔axe des quantite's〕)と呼ぶことが出来るわけである。繰り返していうが、稀少性は所有量が減少するときに増加するものであり、その逆もまた真であることを、我々は認めねばならぬ。
代数的には、有効利用は、消費量の函数として、方程式
[#ここから4字下げ]
u=Φa,1[#「a,1」は下付き小文字](q),u=Φb,1[#「b,1」は下付き小文字](q)
[#ここで字下げ終わり]
によって与えられ、稀少性はその微分係数 Φ'a,1[#「a,1」は下付き小文字](q), Φ'b,1[#「b,1」は下付き小文字](q) によって与えられる。もしまた稀少性を、消費量の函数として、方程式
[#ここから4字下げ]
r=φa,1[#「a,1」は下付き小文字](q),r=φb,1[#「b,1」は下付き小文字](q)
[#ここで字下げ終わり]
によって表わせば、有効利用は 0 より q までの定積分
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_036.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
によって与えられる。故に u と r のそれぞれの表現には、次の関係がある。
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_037.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
七六 かようにして、(B)の所有者(1)に対する(A)の外延利用及び強度利用は、幾何学的には、連続曲線 αr,1[#「r,1」は下付き小文字]αq,1[#「q,1」は下付き小文字] により、代数的には、この曲線の方程式
[#ここから4字下げ]
r=φa,1[#「a,1」は下付き小文字](q)
[#ここで字下げ終わり]
によって表わされ、この同じ所有者に対する(B)の外延利用及び強度利用は、幾何学的には、連続曲線 βr,1[#「r,1」は下付き小文字]βq,1[#「q,1」は下付き小文字] により、代数的には、この曲線の方程式
[#ここから4字下げ]
r=φb,1[#「b,1」は下付き小文字](q)
[#ここで字下げ終わり]
によって表わされる。そして長さ Oqb[#「b」は下付き小文字] によって表わされる量 qb[#「b」は下付き小文字] は、この所有者が所有する(B)の量であるが、ある価格が現われたとき、この所有者が(A)に対してもつ需要はいかなるものであるか。それを正確にし得るか否かを見ようと思う。
欲望曲線を作った方法並びにこれらの曲線を作るとき認められたこれらの曲線の性質から明らかであるように、この人が(B)の qb[#「b」は下付き小文字] 量を所有し、そのすべてを消費するとすれば、面積 Oqb[#「b」は下付き小文字]ρβr,1[#「r,1」は下付き小文字] によって表わされる欲望の合計量が満足せられる。だがこの人は、一般に、このすべてを消費しないであろう。なぜなら一般に、この人は自分が所有するこの商品のただ一部分のみを消費し、他の部分を、市場の価格で、(A)のある量と交換して、より多い合計量の欲望を満足し得るからである。例えば(B)で表わした(A)の価格が pa[#「a」は下付き小文字] であるとき、Oy で表わされる y 単位数の(B)のみを残し、yqb[#「b」は下付き小文字] によって表わされる部分すなわち
[#ここから4字下げ]
ob[#「b」は下付き小文字]=qb[#「b」は下付き小文字][#「qb」は底本では「qq」]−y
[#ここで字下げ終わり]
を、Oda[#「a」は下付き小文字] によって表わされる da[#「a」は下付き小文字] 単位数の(A)と交換すれば、この個人は、二つの面積 Oyββr,1[#「r,1」は下付き小文字] 及び Oda[#「a」は下付き小文字]ααr,1[#「r,1」は下付き小文字] によって表わされる欲望の合計を満足することが出来、この量は先の合計量より大となることがあり得る。交換を行うに当ってこの個人は出来得る限り多くの欲望の合計量を満足しようとすると仮定してみると、pa[#「a」は下付き小文字] が与えられているのであるから、da[#「a」は下付き小文字] は、二つの面積 Oyββr,1[#「r,1」は下付き小文字],Oda[#「a」は下付き小文字]ααr,1[#「r,1」は下付き小文字] の合計が最大となるような条件によって決定せられることは明らかである。ところでこの条件は、量 da[#「a」は下付き小文字] 及び y によって満足せられる欲望の最後のもののそれぞれの強さ ra,1[#「a,1」は下付き小文字] と rb,1[#「b,1」は下付き小文字] との比すなわち交換後におけるそれぞれの稀少性の比が pa[#「a」は下付き小文字] に等しいということである。
七七 いまこの条件が充されたと仮定し、
[#ここから4字下げ]
ob[#「b」は下付き小文字]=qb[#「b」は下付き小文字]−y=da[#「a」は下付き小文字]pa[#「a」は下付き小文字]
ra,1[#「a,1」は下付き小文字]=pa[#「a」は下付き小文字]rb,1[#「b,1」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
であるとすると、この式から pa[#「a」は下付き小文字] を消去し、
[#ここから4字下げ]
da[#「a」は下付き小文字]ra,1[#「a,1」は下付き小文字]=ob[#「b」は下付き小文字]rb,1[#「b,1」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
を得べく、da[#「a」は下付き小文字], ob[#「b」は下付き小文字], ra,1[#「a,1」は下付き小文字], rb,1[#「b,1」は下付き小文字] を、これらを表わす長さ Oda[#「a」は下付き小文字], qb[#「b」は下付き小文字]y, da[#「a」は下付き小文字]α, yβ で置き替えれば
[#ここから4字下げ]
Oda[#「a」は下付き小文字]×da[#「a」は下付き小文字]α=qb[#「b」は下付き小文字]y×yβ
[#ここで字下げ終わり]
それ故に二つの矩形 Oda[#「a」は下付き小文字]αra,1[#「a,1」は下付き小文字], yqb[#「b」は下付き小文字]Rβ の面積は相等しい。しかるに曲線 αr,1[#「r,1」は下付き小文字][#「,1」は底本では「,1,」]αq,1[#「q,1」は下付き小文字], βr,1[#「r,1」は下付き小文字]βq,1[#「q,1」は下付き小文字] の性質によって、一方において
[#ここから4字下げ]
面積 Oda[#「a」は下付き小文字]ααr,1[#「r,1」は下付き小文字]>Oda[#「a」は下付き小文字]×da[#「a」は下付き小文字]α
[#ここで字下げ終わり]
であり、他方
[#ここから4字下げ]
qb[#「b」は下付き小文字]y×yβ> 面積 yqb[#「b」は下付き小文字]ρβ
[#ここで字下げ終わり]
である。故に
[#ここから4字下げ]
面積 Oda[#「a」は下付き小文字]ααr,1[#「r,1」は下付き小文字]> 面積 yqb[#「b」は下付き小文字]ρβ
[#ここで字下げ終わり]
このようにして、(B)の ob[#「b」は下付き小文字] 量と(A)の da[#「a」は下付き小文字] 量との交換は我が(B)の所有者にとって有利である。なぜならこれによって得られる満足を表わす面積は、この交換を斥《しりぞ》けるときに得られる満足を表わす面積より大であるから。だがこれだけの説明では足りない。ob[#「b」は下付き小文字] より小なる(B)と da[#「a」は下付き小文字] より小なる(A)とを交換しても、または ob[#「b」は下付き小文字] より大なる(B)と da[#「a」は下付き小文字] より大なる(A)を交換しても、いかなる他の交換を行っても、右に述べた交換より有利でないことを証明せねばならぬ。
七八 この証明をなすため、(B)の ob[#「b」は下付き小文字] 量と(A)の da[#「a」は下付き小文字] 量との交換の全過程が、相等しくてかつ順次に系列をなすs個の部分的交換から成立していると仮定する。しからば交換方程式
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_038.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
により、(B)の所有者は、(B)の[#式(fig45210_039.png)入る]をs回だけ順次に売渡し、(A)の[#式(fig45210_040.png)入る]をs囘だけ順次に購入しつつ、(A)の稀少性を減少し、(B)の稀少性を増加する。初め価格 pa[#「a」は下付き小文字] より大であった稀少性の比は、かくして、この価格に相等しくなる。従って第一の部分的交換より最後のs番目の部分的交換へと、次第に有利の度は減じていくけれども、部分的交換はいずれも有利である。
Od'a[#「a」は下付き小文字] を、Oの点より上方に向って、Oda[#「a」は下付き小文字] から切りとった長さとし、qb[#「b」は下付き小文字]y' を、qb[#「b」は下付き小文字] より下方に向って qb[#「b」は下付き小文字][#「b」は底本では上付き小文字]y から切りとった長さとし、かつこれらの長さを、それぞれ第一の部分的交換において交換される(A)の[#式(fig45210_040.png)入る]量及び(B)の[#式(fig45210_039.png)入る]量を表わすものとする。この第一次の部分的交換を行った後には、稀少性の比は減少するけれども、なお仮定によって価格より大である。これらの稀少性を ra[#「a」は下付き小文字], rb[#「b」は下付き小文字] と名づければ、
[#ここから4字下げ]
ra[#「a」は下付き小文字]>pa[#「a」は下付き小文字]rb[#「b」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
である。故に前の方程式により、
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_041.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
である。[#式(fig45210_040.png)入る], [#式(fig45210_039.png)入る], ra[#「a」は下付き小文字], rb[#「b」は下付き小文字] を、それぞれ長さ Od'a[#「a」は下付き小文字], qb[#「b」は下付き小文字]y', d'a[#「a」は下付き小文字]α', y'β' で置き換えれば、
[#ここから4字下げ]
Od'a[#「a」は下付き小文字]×d'a[#「a」は下付き小文字]α'>qb[#「b」は下付き小文字]y'×y'β'
[#ここで字下げ終わり]
となる。だが欲望曲線の性質によって、一方においては、
[#ここから4字下げ]
面積 Od'a[#「a」は下付き小文字]α'αr,1[#「r,1」は下付き小文字]>Od'a[#「a」は下付き小文字]×d'[#「d'」は底本では「d」]a[#「a」は下付き小文字]α'
[#ここで字下げ終わり]
であり、他方、
[#ここから4字下げ]
qb[#「b」は下付き小文字][#「b」は底本では上付き小文字]y'×y'β'> 面積 y'qb[#「b」は下付き小文字]ρβ'
[#ここで字下げ終わり]
である。故に
[#ここから4字下げ]
面積 Od'a[#「a」は下付き小文字]α'αr,1[#「r,1」は下付き小文字]> 面積 y'qb[#「b」は下付き小文字]ρβ'
[#ここで字下げ終わり]
である。だから(B)の[#式(fig45210_039.png)入る]と(A)
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