フ関係があるのはもちろんである。
五五 故に需要曲線は、量の双曲線のうちに包まれている。またこれらの需要曲線は一般に坐標軸を切り、これらの軸と漸近線をなさないということが出来る。
一般に需要曲線は、需要の軸を切る。なぜなら価格零においてある個人によって需要せられるある商品の量は、一般に有限であるから。例えば燕麦が無償で与えられるとしたら、ある人は十頭、ある人は百頭の馬を飼養するかもしれぬ。しかし彼らは無限数の馬を飼養せぬであろうし、従って無限量の燕麦を需要せぬであろう。ところで価格零における需要の総計は有限量の合計であるから、それ自身も有限量である。
需要曲線は一般に価格の軸を切る。実際価格が無限大に達しなくても充分に高ければ、ある商品がその無限小量をも何人によっても需要せられないようになるであろうと、我々は想像し得る。しかしこの点については絶対的にはいい得ない。(B)がいかなる価格ででも[#「いかなる価格ででも」に傍点]全部供給せられ得て、従って需要曲線 Ad[#「d」は下付き小文字]Ap[#「p」は下付き小文字] が Qb[#「b」は下付き小文字] を通る双曲線と合致する場合があり得るし、また(B)の一部がいかなる価格ででも供給せられ得て、従って需要曲線 Ad[#「d」は下付き小文字]Ap[#「p」は下付き小文字] が Qb[#「b」は下付き小文字] を通る双曲線の内側の双曲線と合致する場合があり得る。だから架空の臆説をしないように、需要曲線が坐標軸と存在量の双曲線との間のすべての地位をとり得ると考えておく。
五六 かくて我々は、一つの商品の有効需要と他の商品で表わしたその価格との間の直接的関係を知り、またこの関係の数学的表現を知り得たわけである。
例えば(A)商品についていえば、この関係は幾何学的には、曲線 Ad[#「d」は下付き小文字]Ap[#「p」は下付き小文字] により、また代数的には、この曲線の方程式
[#ここから4字下げ]
Da[#「a」は下付き小文字]=Fa[#「a」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
によって表わされる(第五二節)。
(B)商品についていえば、この関係は、幾何学的には曲線 Bd[#「d」は下付き小文字]Bp[#「p」は下付き小文字] により、代数的には、この曲線の方程式
[#ここから4字下げ]
Db[#「b」は下付き小文字]=Fb[#「b」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字][#「b」は底本では上付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
によって表わされる。
その上、我々は、ある他の商品と交換に提供せられる一つの商品の有効供給と、後者で表わした前者の価格との間に存する間接的関係の性質を知り得たわけであり、またこの関係の数学的表現を知り得たわけである。
例えば(A)についていえば、この関係は、幾何学的には曲線 Bd[#「d」は下付き小文字]Bp[#「p」は下付き小文字] で包まれた一連の矩形により、また代数的には、この曲線の方程式
[#ここから4字下げ]
Oa[#「a」は下付き小文字]=Db[#「b」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字]=Fb[#「b」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字])pb[#「b」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
によって表わされる(第五三節)。
(B)については、それは幾何学的には、曲線 Ad[#「d」は下付き小文字]Ap[#「p」は下付き小文字] に包まれた一連の矩形により、代数的には、方程式
[#ここから4字下げ]
Ob[#「b」は下付き小文字]=Da[#「a」は下付き小文字]pa[#「a」は下付き小文字]=Fa[#「a」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字])pa[#「a」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
によって表わされる。
ところで、これらの方程式から、各商品の有効供給と他の商品で表わしたこの商品の価格との関係を表わす方程式を導き出すことは容易である。すなわちこれら二つの方程式において、価格 pb[#「b」は下付き小文字] を[#式(fig45210_019.png)入る]により、価格 pa[#「a」は下付き小文字] を[#式(fig45210_020.png)入る]により置き換えればよい。なぜなら pa[#「a」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字]=1 であるから。
よって
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_021.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
となる。
これらの要素をもって私共は、二商品の交換の一般的問題――二商品[#「二商品」に傍点](A[#「A」に傍点])、(B[#「B」に傍点])を与えられ[#「を与えられ」に傍点]、またこれら二商品相互の需要曲線またはこれら曲線の方程式を与えられれば[#「またこれら二商品相互の需要曲線またはこれら曲線の方程式を与えられれば」に傍点]、それぞれの均衡価格はいかに定まるかの問題[#「それぞれの均衡価格はいかに定まるかの問題」に傍点]――を、数学的に解くことが出来る。
五七 幾何学的には、問題は、二つの曲線 Ad[#「d」は下付き小文字]Ap[#「p」は下付き小文字], Bd[#「d」は下付き小文字]Bp[#「p」は下付き小文字] の間に、それぞれの底辺(これらは互に逆数である)上に矩形 Oda[#「a」は下付き小文字]Apa[#「a」は下付き小文字], ODb[#「b」は下付き小文字]Bpb[#「b」は下付き小文字] を作り、これら一方の高さ ODa[#「a」は下付き小文字] が他方の面積 ODb[#「b」は下付き小文字] × Opb[#「b」は下付き小文字] に等しくなるように、また反対にこの他方の矩形の高さ ODa[#「a」は下付き小文字] が一方の矩形の面積 ODa[#「a」は下付き小文字] × Opa[#「a」は下付き小文字] に等しくなるようにすることにある。これら二つの矩形の底辺 Opa[#「a」は下付き小文字], Opb[#「b」は下付き小文字] は均衡価格を示す。けだしこれらの価格のそれぞれにおいて、高さ ODa[#「a」は下付き小文字] によって表わされる(A)の需要は、面積 ODa[#「a」は下付き小文字]×Opa[#「a」は下付き小文字] によって表わされる(B)の供給に等しいからである(第四七節)。
ここに用いた「各一方の矩形の高さが他方の矩形の面積に等しくなるように」という表現は、等質を表現したものではない。しかしこの場合にはこの等質を必ずしも必要としない。なぜなら底辺が互に逆数を表わしていることが、これら二曲線の構成に役立った共通な単位 O1 の存在を予想しているから。だがもしこの単位を顕《あら》わさしめようとすれば、各矩形の高さは、他方の矩形の面積を構成している単位数と同数の単位数を含んでいると考えるか、または各矩形の面積は、他方の矩形の高さと底辺の単位によって作られる矩形の面積に等しいと考えねばならぬ。ところでこの問題の与件においては、当然、各矩形の底辺は高さの反比に等しく、また面積の比に等しいわけである。
五八 代数的には、問題は、二つの方程式
[#ここから4字下げ]
Fa[#「a」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字])=Fb[#「b」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字])pb[#「b」は下付き小文字], pa[#「a」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字]=1
[#ここで字下げ終わり]
における二つの根 pa[#「a」は下付き小文字], pb[#「b」は下付き小文字] を求め、または二つの方程式
[#ここから4字下げ]
Fa[#「a」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字])pa[#「a」は下付き小文字]=Fb[#「b」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字]), pa[#「a」は下付き小文字]pb[#「b」は下付き小文字]=1
[#ここで字下げ終わり]
における二つの根 pa[#「a」は下付き小文字], pb[#「b」は下付き小文字] を求めることにある。更にいい換えれば、問題は、
[#ここから4字下げ]
Da[#「a」は下付き小文字]=Oa[#「a」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
を表わす方程式
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_022.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
及び
[#ここから4字下げ]
Ob[#「b」は下付き小文字]=Db[#「b」は下付き小文字]
[#ここで字下げ終わり]
を表わす方程式
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_023.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
の二つの根 pa[#「a」は下付き小文字], pb[#「b」は下付き小文字] を求めることにある。
五九 なおまた、これらの解法を一つに結合することも出来る。我々は既に曲線
[#ここから4字下げ]
Da[#「a」は下付き小文字]=Fa[#「a」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字][#「a」は底本では「b」]), Db[#「b」は下付き小文字]=Fb[#「b」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字])
[#ここで字下げ終わり]
を知っているが、これらはそれぞれ曲線 Ad[#「d」は下付き小文字]Ap[#「p」は下付き小文字], Bd[#「d」は下付き小文字]Bp[#「p」は下付き小文字] である。今曲線
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_024.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
を作れば、それらはそれぞれ曲線 KLM, NPQ であって、これらの曲線と Ad[#「d」は下付き小文字]Ap[#「p」は下付き小文字], Bd[#「d」は下付き小文字]Bp[#「p」は下付き小文字] との交点A及びBは、先に述べた矩形をちょうど与える。
これらの曲線 KLM, NPQ はいかなるものであるか、図に点線で表わされたこれらの曲線の構造の形状を知ることは容易である。
まず曲線 KLM は(A)の供給曲線であって、(B)の需要曲線と混同してはならない。なぜなら(B)の需要曲線の坐標によって作られる矩形の面積は、価格 pb[#「b」は下付き小文字] の函数としての(A)の供給を示しているのに反し、(A)の供給曲線の縦坐標の長さは、価格 pa[#「a」は下付き小文字] の函数としての(A)の供給を示しているから。
この曲線は、(B)で表わした(A)の価格が無限大であるときすなわち(A)で表わした(B)の価格が無限小であるとき、零の値から出発し、従って価格の軸に漸近線をなす。そしてそれは、原点に近づくに従い、すなわち(B)で表わした(A)の価格が減少するに従い、すなわち(A)で表わした(B)の価格が増加するに従って、上向し、ついに最高点Lに達する。この点の横坐標は、曲線 Bd[#「d」は下付き小文字]Bp[#「p」は下付き小文字] に包まれる矩形の面積を最大ならしめる Bm[#「m」は下付き小文字] 点の横坐標 Opb,m[#「b,m」は下付き小文字] によって表わされる pb,m[#「b,m」は下付き小文字] すなわち(A)で表わした(B)の価格の逆数、すなわち(B)で表わした(A)の価格を示している。次にこの曲線は、原点に近づくに従い高さを減じ、ついに零となる。これが零となるのは、曲線 Bd[#「d」は下付き小文字]Bp[#「p」は下付き小文字] が価格の軸を切る Bp[#「p」は下付き小文字] 点の横坐標 OBp[#「p」は下付き小文字] によって表わされる(A)で表わした(B)の価格の逆数においてである、すなわち OK で示される(B)で表わした(A)の価格においてである。
同様に曲線 NPQ は(B)の供給曲線であって、(A)の需要曲線と混同してはならない。(A)の需
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