合にはこの人にとって(A)の稀少性はあり得ない。なぜなら ra,2[#「a,2」は下付き小文字] の項は、この所有者が感ずる(A)の最初の欲望の強度 αr,2[#「r,2」は下付き小文字] より大なる項 pa[#「a」は下付き小文字]rb,2[#「b,2」は下付き小文字] によって置き換えられねばならぬからである(第八六節)。また例えば所有者(3)が、pa[#「a」は下付き小文字] の価格においてはすべてを投じて(A)を需要する人である場合があり得る。すなわち(B)の所有量または存在の全量の供給者である場合があり得る。この場合には、この人にとっては、(B)の稀少性はない、充された欲望がないからである。項 rb,3[#「b,3」は下付き小文字] はこの所有者が感ずる(B)の最初の欲望の強度 βr,3[#「r,3」は下付き小文字] より大なる項 pb[#「b」は下付き小文字]ra,3[#「a,3」は下付き小文字] によって置き換えられねばならぬ(第八七節)。もっとも pa[#「a」は下付き小文字]rb,2[#「b,2」は下付き小文字], pb[#「b」は下付き小文字]ra,3[#「a,3」は下付き小文字] の項を括弧に入れて、上の表の中に記すことも出来よう。そのときは稀少性は充された[#「充された」に傍点]または充されねばならぬ[#「充されねばならぬ」に傍点]最後の欲望の強さと定義されねばならぬ。
 これら二つの留保をすれば、私共は次の命題を立てることが出来る。
 市場価格または均衡価格は稀少性の比に等しい[#「市場価格または均衡価格は稀少性の比に等しい」に傍点]。他の言葉でいえば、
 交換価値は稀少性に比例する[#「交換価値は稀少性に比例する」に傍点]。
 一〇一 二商品の間に行われる交換に関し、交換の数学的理論の研究の当初に、私は一つの目的を定めた(第四〇節)。それは、経済学及び社会経済学の目的と分け方を取扱った第一編でなしたように、稀少性から出発して交換価値に到らないで、交換価値から出発して稀少性に到ろうとすることであった。今私はここにこの目的を達した。実際、ここに見るような稀少性すなわち充された最後の欲望の強度は、先に私が利用と限られた量との二条件をもって定義した稀少性(第二一節)に全く相一致する。もしある物に欲望が無く、外延利用も強度利用もなく、換言すれば、こ
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