c線を離れるとすると、ますますこれを遠ざかり、これを支点の下に置くのでなければ、自ら重力によっては復帰をしない。これは不安定均衡[#「不安定均衡」に傍点](〔e'quilibre instable〕)である。
 六八 故に実のところ、A', B' の組と A'', B'' の組とがこの問題の二つの解法を成すものであり、A, B の組は、これら二つの解法の各々のそれぞれの領域の分岐点と極限とを示すに過ぎない。pb[#「b」は下付き小文字]=μの彼方では、(A)で表わした(B)の価格は、均衡価格 p''b[#「b」は下付き小文字] すなわち B'' 点の横坐標に近づいていく。その此方では、価格 p'b[#「b」は下付き小文字] すなわち B' 点の横坐標に近づいていく。これと相関的に、[#式(fig45210_030.png)入る]の此方においては、(B)で表わした(A)の価格は、均衡価格 p''a[#「a」は下付き小文字] すなわち A'' の横坐標に近づいていく。この彼方においては、それは、価格 p'a[#「a」は下付き小文字] すなわち A' 点の横坐標に近づいていく。
 容易に認め得るように、この事実は、商品の性質により、(B)で表わした(A)の価格が小さいとき需要せられる大なる量の(A)が、(A)で表わした(B)の価格が大なるとき需要せられる小なる量の(B)に等価であり得ると同時に、また(B)で表わした(A)の価格が大なるとき需要せられる小なる量の(A)が、(A)で表わした(B)の価格が小なるとき需要せられる大なる量の(B)に等価となり得る場合に現われる。そこでせりが、(B)で表わした(A)の価格の小なるものと、(A)で表わした(B)の価格の大なるものとをもって始まるか、または(A)で表わした(B)の価格の小なるものと、(B)で表わした(A)の価格の大なるものとをもって始まるかに従い、これら二つの均衡の第一に終るかまたは第二に終ることとなるのである。多数の商品が価値尺度財または貨幣の仲介により互に交換せられる場合にも、なおこの事実が可能であるか否か。私は後にこれを考察しよう。
 六九 以上の研究にあっては、需要曲線 Ad[#「d」は下付き小文字]Ap[#「p」は下付き小文字], Bd[#「d」は下付き小文字]Bp[#「p」は下付き小文字], B'd[#「d」は下付き小文字]Bp[
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