、二足ばかり早く、決勝点に入りました。
今度は東の方から、しきりに、
「たたいても、こはれない方万歳。」を、くりかへして叫びました。けれども、今雄さんと京一さんは、にこにこ笑ひながら、手をにぎつて別れました。
ごん七さんは、瓦がよく売れるので、お金がうんとたまりました。で、東山の景色のいいところへ、立派な二階造りの家《うち》を建てました。
ごん八さんは、それを見て、西山の景色のいい所へ、三階造りをたてました。
ごん七さんは、まけてはならないと思つて、二階の上に、また一階をたてそへました。
ごん八さんは、三階の上に、また一階をたてそへました。
ごん七さんも、三階を四階にしました。
ごん八さんは、とても大きな鬼瓦を作つて、四階の屋根の上にのせました。その鬼は、恐ろしいかほで、ごん七さんのおうちの方を、朝も晩も、にらみつけてゐます。
ごん七さんも、まけぬ気になつて、もつと大きな鬼瓦を作つて、四階の上にのせました。それは世にもめづらしい、恐ろしい、かほつきの鬼瓦でした。それが、朝も晩も、西山の鬼瓦を、にらみつけてゐます。
今雄さんと京一さんとは、相かはらず、仲よく遊んでゐ
前へ
次へ
全13ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
沖野 岩三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング