ちは、東山派と西山派とに分れて、手手《てんで》に、旗を押し立てて、学校の運動場へのりこみました。東山派の、今雄さんびいきの人たちは、赤い旗を、西山派の、京一さん組の人たちは、白い旗を造りました。そして、源氏と平家のやうに東と西とに分れて、応援をする事になりました。
運動会の競技は、段段と進んで、いよいよ最後の、二百めえとる競走になりました。
東の方では、生徒の父兄達が、赤い旗を振つて、
「たたいても、こはれない方、しつかりしろ。」と、叫びますと、西の方では、
「投げても、こはれない方、しつかりしろ。」と、叫びつづけました。
けれども競技の結果は、京一さんが一足程早く、決勝点へ入つたので、
「投げても、こはれない方万歳。」の、こゑが、西の方から起りました。すると東山の方から、
「今一度やり直せ。不公平だ。」
と、叫ぶこゑが起りました。そこで校長さんは、
「番外として、も一度二百めえとる競走をいたします。」
と、呼びました。
「たたいても、こはれない方、しつかりしろ。」
「投げても、こはれない方、しつかりしろ。」
東西から起るこゑは、雷のやうでした。ところが今度は、今雄さんの方が
前へ
次へ
全13ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
沖野 岩三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング