た。
 ごん七さんところの三階は、平家になりました。
 ごん八さんところの平家は、とりはらはれて、そこは、瓦を、かはかす場所になりました。
 ごん七さんところの平家は、取りのけられて、そのあとは、瓦をやく所になりました。

 あくる年の四月に、京一さんも今雄さんも、同じ一番で六年級になりました。
 ごん七さんの、やく瓦は、石ころでたたいても、こはれないといふ評判が、日本中へ、ひろがりました。
 ごん八さんの、やく瓦も、投げたつて、こはれないといふ評判が、高くなりました。
 そして、東山も西山も、だんだん商売が、はんじやうしました。

 東山の上から、赤い旗を振つて、
「きみのところへ どうわとくほんが つきましたか。」と、信号しますと、西山の上から、
「つきました あすのあさ がくかうへ もつていつて かして あげます。」
と、あひづをしました。

 ごん七さんは、今雄さんが、旗をふつてゐるのを見て、
「もう、鬼瓦がないんだから、旗をふらないでも、いいぢやないか。」と、叱《しか》るやうに言ひました。
 ごん八さんも、京一さんの、旗を振るのを見て、
「もう、下らない競争はよせ。」と、叱る
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