やうに言ひました。
 あくる日、今雄さんと京一さんとは、学校の裏庭で、相談しました。そして、その日の夕方、おうちへかへつて、今までの事を、すつかり、白状することにしました。
 ごん七さんも、ごん八さんも、二人ながら、自分の子供さんの、かしこいのに、感心しました。
 それから、東山と西山とでは、毎日、赤と白との旗をふるやうになりました。それは、東山へ瓦の註文があつても、瓦の足りない時は、西山へ旗をふつて、足りないだけを、すぐ持つて来てもらふのです。そのかはり、西山へ瓦の註文が有りすぎた時は、その半分を、東山でやいてもらふやうに、旗をふつて、たのむのです。その信号手は、いつも京一さんと、今雄さんでした。
 東山と西山とが、仲《なか》よくなつた時、世間の人は、両方の瓦を、
「打つても投げても、こはれない瓦だ。」と、いつて、ほめました。



底本:「日本児童文学大系 第一一巻」ほるぷ出版
   1978(昭和53)年11月30日初刷発行
底本の親本:「童話読本 五年生」金の星社
   1939(昭和14)年2月
初出:「金の星」金の星社
   1925(大正14)年2月
入力:tatsuki
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